世界を読み解くカギは「西洋哲学」の中にある 「江戸時代の日本思想」をいま再評価すべきだ
そして、明治以降、西洋文化を取り入れる借り物文化に終始してきた日本。未来を切り開くには、日本人は、日本の歴史を踏まえた自分たちの哲学を言語化し、西洋を導く立場に立つべきです。その実現の鍵は江戸時代にあります。 『古事記』や『万葉集』を再発見した賀茂真淵や本居宣長の国学、伊藤仁斎の「仁」、荻生徂徠の政治哲学など、江戸時代に確立された独自の理論を再評価すべきです。 これらの思想が形になる寸前に明治維新で西洋思想が流入しました。しかし、そもそも西洋哲学は日本社会に根っこがないのです。そのため日本では西洋哲学は大学内の閉鎖的な議論に留まり、日本社会にまったく影響を与えていません。西洋哲学が日本社会に根付かない理由はここにあります。
今こそ日本の社会と伝統、歴史に根差した哲学を自分たちの言葉で語りましょう。西洋哲学が行き詰まったいま、日本人が世界をリードする時代はここから始まるのです。
茂木 誠 :作家、予備校世界史講師、歴史系YouTuber