心尽くしの夕食を「何これ?作り直せ」と言われて…モラハラの支配から抜け出したい私は、ある日夫を置き去りにしてアクセルを踏んだ
夫の態度や言葉をおかしいと気づけた時から私は変わった
その夜、Kさんは子どもたちを寝かしつけた後、一人でキッチンに戻りました。夫の放った言葉が何度も頭の中でリフレインし、胸の奥が締めつけられるような感覚に襲われました。「これが普通の夫婦なの?文句を言われるだけで思いやりもない」と泣きたい気持ちを押し殺し、何気なくネットで「夫からの暴言」と検索してみました。 夫の行動や言葉は全てモラハラの特徴に当てはまったので、Kさんは身震いしました。そして、日々の夫からの暴言や命令口調に慣れきってしまっていましたが、「私のやられていることはモラハラであり、私は悪いこともしていないし能力が低いわけでもない」と思えたのです。 その記事や動画を出している人に、いつも自分がやられていること、夫から「お前が悪い」と言われ続けていること、Kさんがいくら頑張っても夫の怒りは治らずまた罵倒される事などを勇気を出してメッセージを送ってみました。すると翌日にお返事がもらえました。 「Kさん、それは普通じゃないことです。あなたは十分頑張っています。ご主人が自分の機嫌を自分で取れずにKさんに当たることは彼自身の問題です。自分を責めないで。彼のやっていることはモラルハラスメントです。Kさんはターゲットにされています。自分はモラハラ被害者だと認め、今後どうしたいか一緒に考えてみましょう。」 その言葉に、Kさんは初めて涙を流しました。「私は悪くなかったんだ」と思えたことで、少しだけ心が軽くなった気がしました。 本編では、支配的な夫からの理不尽な要求をされて自己肯定感が下がっていたKさんが、「モラルハラスメント」という言葉を知り「自分は悪くなかった」と分かって少し心が軽くなったエピソードをお届けしました。 続く後編「夫の指示を無視し、自由に行動しはじめたKさん」ではモラハラをする夫の心理と、そこから抜け出すために動き始めたKさんのお話をお届けします。
夫婦問題・モラハラカウンセラー 麻野祐香