【プレミアプレーオフ】福岡U-18、19年以来となるプレミアリーグ復帰に王手 聖和学園に快勝
高円宮杯U-18サッカーリーグ2024プレミアリーグプレーオフ(参入戦)が6日に広島で開幕。Cブロック1回戦のアビスパ福岡 U-18と聖和学園は3-1で福岡U-18が勝利し、8日に行われる岡山学芸館との決定戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】アビスパ福岡 U-18 vs 聖和学園 「今年の最初から全国大会での躍進やプリンス優勝よりも、目指してきた舞台。プリンス2位になってもプレミアに上がるというところを一番の目標にしてやってきた。そこに対する気合の入り方や熱量は他のチームよりも圧倒的に強い。アビスパのトップチームが強くなるためには、プレミアにいないといけないと責任感もある」。そう意気込むのは福岡U-18の主将を務めるDF5池田獅大(3年)。技巧派揃いの相手に対して苦戦しながらも、想いの強さを感じさせる粘り強い守備で勝利を引き寄せた。 立ち上がりから試合のペースをつかんだのは聖和学園だった。前半9分には左サイドでボールを持ったMF9中村柊真(3年)が一人でシュートまで持ち込むなど技術力を生かしたドリブルで見せ場を作ったが、福岡U-18も「相手は凄く特徴的なチームなので、そこに対する準備を1週間しっかりやってきた」(池田)と対策は万全。簡単に剝がされないため、飛び込まずに粘り強く付きつつも、2人目のカバーリングを意識することでゴール前での仕事はそう簡単にさせない。 「2トップは多少アバウトに蹴ってもマイボールにしてくれる力がある。後ろも信じてカウンターで飛び出せる」と池田が胸を張る通り、今年の福岡が守備の時間が長くても耐えられるのはFW9前田一翔(3年)、FW32サニブラウン・アブデルハナン(3年)の存在が大きい。1本目の決定機である15分のシーンは2人の働きから生まれた形で、左前方のスペースに入ったボールを前田が拾うとサニブラウンに展開。そこからゴール前にパスを入れ、走り込んだMF28中村環太(2年)が決めた。 福岡U-18が幸先の良いスタートを切ったものの、聖和学園も負けていない。「今年は安原知希と鈴木優也が怪我で苦しんでいた。選手権もインターハイも(全国に)出られなかったのですが、怪我をしている人のために頑張ろうと思っていたのでチームが一つになっていった」。そう話すのはDF4菅井拓也(3年)で、ベンチの選手からも耐えずに声が出るなどチームの雰囲気は良好。失点しても前向きな状態を保つと31分にはPA手前でパスを受けたMF14安原知希(3年)が巧みなミドルシュートを決めて同点に追いついた。 36分には中村が強引に左サイドを運んでパスを入れたが、中の選手とは合わない。「最後まで自分たちの課題で終わってしまったのは中の人数の少なさ。ドリブルでサイドからカットインして何かしないといけない。縦突破しても中に誰もいない形になっていた」と口にするのは菅井だ。逆転のチャンスを掴めないでいると39分には左CKから池田がヘディングシュートを決めて、福岡U-18が2-1で前半を終えた。 後半8分にはMF13天野浬玖(3年)からMF11萩原空真(3年)へとサイドチェンジ。そこから萩原が対面するDFを振り切るなど後半に入ってから聖和学園がサイドからの見せ場を増やしたが、福岡U-18のベンチは素早く対応。20分にDF3吉松優人(3年)を入れて4バックから5バックに変更し、守備を固めた。狙いについて久永辰徳監督はこう明かす。 「リードしている状況でクローズするため後ろを5枚にするやり方を1年間やってきたので、選手はやり方を分かっている。ただ、今日みたいに早い時間帯でやる機会はあまりなかったけど、どうしても1対1で剥がされるので聖和さんの攻撃にどう対応するか考えた。カバーリングを伝えてはいたのですが、あの時間帯からは疲労が出る。事故も起きるので、人数を増やした方が選手も分かりやすい」 システム変更によって「落ち着いて、前向きで守備ができた」(久永監督)結果、福岡が再びカウンターを繰り出す場面が戻ってきた。後半31分には中盤の中央でボールを持った池田が前方にパスを展開するとサニブラウンが反応。ゴール前に落ちたボールを前田が触って相手GKをかわすと冷静にゴールへと流し込んだ。 以降は落ち着いてゲームを締めて福岡U-18が3-1で勝利。2019年以来となるプレミアリーグ復帰に王手をかけた。 (文・写真=森田将義)