バイリンガルをめざすなら5、6歳。スマホアイに将来の選択肢を奪われないことが肝心だ
人の体内時計は、約25時間の周期で刻まれています。 24時間じゃないの? と思いますよね。そう、1日24時間という私たちのリズムとはずれがあるのです。ですから放っておくと、どんどん体内時計と生活リズムはずれていきます。 そこで、毎日体内時計をリセットしてずれを修正しているのが、目から入ってくる太陽の光です。体内時計は、網膜からの光信号を受けて、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌をコントロールしています。 朝、光を浴びると、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。また、メラトニンの分泌が止まります。そしてリセッ トされてから一定の時間(14~16時間)を経過するとメラトニンが放出され、眠気を催すようになっています。朝起きて浴びる光は、日中の活動と夜の睡眠のスイッチを入れるために必要だということですね。 起床後2時間以上、暗い室内にいると体内時計のリセットが行われず、その夜に寝つくことのできる時刻が約1時間遅れるといわれています。体内時計のリズムをきちんとリセットするには、起床後なるべく早く太陽の光を浴びる必要があります。 実は、体内時計へ情報を送る内因性光感受性網膜神経節細胞は、スマホの画面などから発せられるブルーライトに最も反応しやすい特性があります。そのため、寝る前にスマホを見ていると、脳がまだ昼間だと勘違いしてメラトニンを抑制してしまうわけです。 ■ ブルーライトは悪くない? スマホをはじめパソコンやテレビの液晶画面には三原色(赤、緑、青)のLEDが用いられており、ブルーライトが多く含まれています。ブルーライトを巡っては、さまざまな意見があるのが実情です。可視光線のなかでも強いエネルギーを持つ光なので、害を危ぶむ声もありますが、根拠はなさそうです。商業ベースでの情報ではないかと心配しています。
ブルーライトは、太陽光に含まれる波長380~495ナノメートル前後の青色成分の光です。2021年に、 日本眼科学会は日本近視学会や日本小 児眼科学会などと連名で、小児に対するブルーライトカットメガネの効果について否定的な意見書を発表しました。 他にも、ブルーライトが網膜を損傷するという話を聞いたことはないでしょうか。この話は科学的に証明されておらず、アメリカの眼科学会でも否定されています。そもそも、先ほども述べたようにブルーライトは太陽光にも含まれていますし、紫外線とブルーライトとの境界にあるバイオレットライトは、近視の抑制に効果があるともいわれています ただ、長時間画面を見ていれば目も脳も疲れますし、睡眠のことを考えると、ブルーライトを寝る前に浴びるのは好ましくありません。お子さんが幼ければ、絵本の読み聞かせがわりに動画を見せることもあるでしょう。 小学校高学年ぐらいのお子さんであれば、夜遅くに自分のスマホをいじることもあるかもしれません。体内時計からすれば、寝る前のスマホは窓の外がいつまでもたっても明るいままになっているようなものです。眠りにつく時間が遅くなったり、眠りが浅くなって睡眠の質が落ちたりしても、仕方がありません。 人の成長ホルモンが分泌されるのは夜、就寝しているときです。成長ホルモンは、日中の活動で傷んだ細胞の修復にも活躍します。 睡眠不足が続くと発育にも影響が及びますし、前日の疲れがとれないままになり、学校生活も大変になります。寝坊すれば朝ごはんを食べる時間も削られてしまいますね。さらには、睡眠不足は自律神経のバランスの乱れにもつながります。
松岡俊行