横浜F・マリノスが右膝重症で戦列を離れる宮市亮への思いで一致団結し鹿島との”天王山”に快勝…「どんな時も君は一人じゃない」
明治安田生命J1リーグ第23節の8試合が30日に行われ、首位の横浜F・マリノスが2-0で2位の鹿島アントラーズに快勝した。ホームの日産スタジアムで臨んだ天王山へ、マリノスは先の日本代表戦で右膝前十字靱帯断裂の重症を負ったFW宮市亮(29)の背番号と名前、復活へ向けたメッセージが刻まれた特製ユニフォームを着てキックオフ前の練習を実施。鹿島との勝ち点差を8ポイント差に広げる大きな白星に、来場した宮市も思わず号泣した。
用意された背番号「17」の特製ユニホーム
鹿島との大一番を直前に控えたマリノスの選手たちの士気がさらに上がった。日産スタジアムに到着し、ロッカールームに足を踏み入れた瞬間だった。 試合で着用するユニフォームが練習用ウェアとして用意されていた。しかし、背番号はすべて「17」で統一され、その下にはローマ字で「MIYAICHI」と記されていた。さらに胸部分の「NISSAN」ロゴの下には、こんなメッセージが綴られていた。 「亮 どんな時も君は一人じゃない」 日本代表の一員として出場した、27日の韓国代表とのEAFF E-1サッカー選手権で負傷退場した宮市が、右膝前十字靱帯を断裂したと発表されたのが前日29日。マリノスのスタッフが急ピッチで手配し、鹿島戦へ準備した特製ユニフォームだった。 統一された「17」はマリノスで、そしてE-1選手権で宮市が背負った番号だった。さらに試合前の練習でピッチへ出ると、スタンドにこんな横断幕が掲げられていた。 「トリコロールの宮市亮 再びピッチで輝け 待ってるぞ」 選手、首脳陣、スタッフ、フロント、そして日産スタジアムに駆けつけたファン・サポーター。マリノスに関わるすべての人々の思いが、宮市を中心としてひとつになった。韓国戦でトップ下として先発している西村拓真(25)は、中2日の強行スケジュールで迎えた鹿島との天王山でも先発した胸中をこう明かしている。 「(宮市)亮くんに比べたら、サッカーができることにまず感謝しなければいけないし、だからこそ疲れたなんて言っていられなかった。鹿島とのビッグマッチに出られることへの喜びしか感じなかったし、自分の仕事に集中して責任をしっかり果たすことがチームにとって大事であり、それが亮くんのためにもなると思っていました」 同じく韓国戦で先発フル出場したボランチの岩田智輝(25)は、怪我をした直後の宮市から「引退」の二文字を聞いた。マリノスの発表から数時間後の29日夜。自身のインスタグラム(@ryo381)を更新した宮市が、冒頭部分で「受傷直後『やってしまった』と同時に『もう現役を終えよう。』と思っていました」と綴ったのと同じ内容だった。