〝石破構文〟が立民を翻弄 「初めに結論を」と注文も…長々と続くマイペースの答弁
立憲民主党が石破茂首相との国会論戦の対応に苦心している。首相は、官僚が用意した答弁案に頼らず自らの言葉で説明しようとする「最近の首相にいなかったタイプ」(立民中堅)である半面、延々と持論を展開した末に具体論には触れないケースが多い。10日の衆院予算委員会では、立民の多くの議員が「結論」を首相に迫ったが、けむに巻かれる場面が目立った。 【写真】親指、中指、人差し指、「Vサイン」も…答弁求め方も個性的な石破茂首相 ■質問にはほとんど答えていない 「正論の部分は聞き入ってしまうが、議事録をよく読むと質問にほとんどお答えになっていない」 立民の長妻昭代表代行は10日の予算委で首相に苦言を呈し、「初めに結論を言って、正論を後からお願いできれば」と注文した。 長妻氏は、企業・団体献金禁止に消極的な首相の姿勢を巡り、平成7年の政党交付金制度導入は企業・団体献金禁止が前提だったとして「首相は案に賛成したと思うが、いかがか」と尋ねた。 これに対し首相は「何があったかをよく認識しながら議論しないと、議論がおかしくなる。『昔の話を聞きたくない』などといわれたら困る」と前置きした上で、過去の国会答弁を紹介しながら経緯を言い連ねた。答弁の終盤、求められた「結論」にやっとたどり着き、「当時の政府の立場として企業・団体献金を禁止するという立場には立っていなかった」と述べた。 ■「端的にお答えいただきたい」 立民の今井雅人衆院議員は、首相が自民党総裁選で言及した金融所得課税の強化について「検討することは考えていない」と語ったことの整合性を追及した。 首相は「格差是正の観点から税負担の公平性を確保することは大事だ、という思いは今も変わりない」と切り出し、「一般の投資家の方々が投資しやすい環境をつくっていかねばならない。それは『貯蓄から投資へ』ということで…」。 かみ合わない話を長々と聞かされた今井氏は「端的にお答えいただきたい」と求めたが、それでも首相はマイペース。今井氏に「強化は必要と思っているか、必要ないと思っているか」と詰められたあげくに「お答えすることは差し控える」と応じた。その後も平行線の攻防が続き、首相は「何を言っても『分かった』と言っていただけないことは承知の上で申し上げている」と意図を語った。 少数与党を率いる首相は、自民一強時代と異なる「熟議」の在り方を手探りで確立しようとしているようだが、〝石破構文〟に翻弄される野党第一党の苦悩も深い。(松本学)