「子ども3人で毎月5万円」児童手当が拡充された人ほど危ない…FPが警鐘「これからの増税で痛い目に遭う人」
■年3回だった支給回数が年6回に 4 子どもの人数の数え方の緩和 児童手当では子どもの人数の数え方に特徴があり、今までは18歳到達後の最初の年度末までの子どもしか子どもの人数にカウントしてもらえませんでした。つまり、子どもが3人いたとしても第1子が高校を卒業すると、第1子は子どもの人数に数えてもらえなくなるため、第3子は第2子扱いとなり、第3子以降の増額の対象ではなくなっていました。 今回の改正で、22歳到達後の最初の年度末までの子どもまで子どもの人数として数えることになりました(緩和されたとはいえ、できればこの22歳という縛りもなくしてもらいたいものですね……)。 5 支給回数の増加 今までは1年分を3回に分けて、6月、10月、2月に支給されていましたが、今回の改正で、12月、2月、4月、6月、8月、10月の年6回の支給になります。改正後の第1回目の支給は12月となります。 ■増額分は申請しないともらえない 今回の改正によって児童手当を受け取ることができる世帯が増えることになりました。ただし、今回新たに児童手当を受けられるようになった世帯や今回の改正によって子どもの人数のカウントに変更が生じる世帯は、申請を行わないと改正後の児童手当を受けることができません。 今まで所得制限や所得上限によって児童手当や特例給付を受給していない世帯や支給対象外だった高校生を養育している世帯は申請が必要です。また、今まで子どもの人数としてカウントされなかった高校生年代以上の子どもがいる世帯は支給対象として認定される子どもの人数が変わるため申請が必要です。まだ申請をしていない場合は、2025年3月31日までに申請すれば、2024年10月分からさかのぼって受給することができます。お住まいの市区町村に申請してください。
■手放しで信用できない国の3つの前科 1 いつまで続くかわからない 今回の改正で、支給対象や金額が拡大され、子育て世帯にとってはありがたい制度に変わったように思います。ただし、手放しでは喜べないものだと思っています。児童手当の歴史を過去にさかのぼり、2010年に子ども手当が創設された際のことを思い出してみましょう。 子ども手当では所得制限を撤廃し、子ども1人あたり月2万6000円を支給するという民主党政権の大盤振る舞いの予定でした。2万6000円の支給に先駆けて、2010年に38万円の年少扶養控除が廃止され、所得制限なしの月1万3000円の支給が開始されました。 しかし、当初2011年から予定していた月2万6000円の給付については財源の不足から結局実現せず、その後、2012年には自民党安倍政権になって、再び所得制限が設けられてしまいました。にもかかわらず、年少扶養控除は復活していません。さらに2022年には所得上限以上の世帯については支給停止となっています。 私は2009年に第1子、2010年に第2子を出産し、今は6人の子どもがいます。私が子育てを始めてからの15年の間にここまで子育て支援の方向性がコロコロ変わることに驚きました。今回も児童手当拡充の議論が始まったのは所得上限が設けられた直後だったので、決定後も本当に支給開始されるのか信じられませんでしたが、なんとかスタートしたようです。ただし、今後もこのような手厚い支援がずっと続くのかは疑わしいと思っています。 2 増税の可能性 2010年には年少扶養控除がなくなったことで、結局増税されることになりました。また、今回も2026年からは高校生年代(16歳~18歳)の扶養控除は縮小予定です。児童手当支給額以上の増税となるケースはまれですが、児童手当の支給額分がまるまる可処分所得として増えるわけではないということを知っておかないといけません。 3 社会保険料増額の可能性 また、知らない間に社会保険料の増額で結局手取りが減るということもあり得ます。今回も社会保険料の増額で一人500円、1000円負担増という話もありました。また、この10月からは社会保険の加入義務適用が拡大しています。消費税が上がるときには大騒ぎをするのですが、なぜか社会保険料は、上がってもあまり世間で騒がれない印象です。