美食のレストラン、世界一のチョコレート…知られざるフランスの”世界一美しい湾”のある場所
フランス通も知らない隠れたリゾート地
世界で最も訪問される人気国として、30年以上にわたり、ほぼトップの座を占めてきたフランス。 【写真】世界で最も美しい湾「レ・サーブル=ドロンヌ」はフランスの超穴場観光地 芸術の都パリはもちろん、風光明媚なニース、アンディーブ、カンヌなどのコートダジュール、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュなどのワインの名所。世界中から人が集まる美食の国だけに、片田舎の小さな村までよく知られた観光大国である。 オリンピック、パラリンピックのあった今年は1億人以上の国際観光客が見込まれる、などとも言われている。 だが、そんなフランスにも、実はまだほとんど知られていない穴場的なリゾートがあった。 そのひとつがフランス西部のVendée(ヴァンデ)県の「レ・サーブル=ドロンヌ」だ。 前編「仏版『地球の歩き方』未掲載の穴場!レ・サーブル=ドロンヌがフランス国内で人気の理由」では、彼の地レ・サーブル=ドロンヌで4年に一度開催される、「単独」「無寄港」「無支援」の世界最大のセーリングレース「Vendée Globe(ヴァンデ・グローブ)」に、EU圏から多くの人々が集まる様子とその理由をお伝えした。 後編ではアメリカやアジア圏では、まだほとんど知られていないこの地が、国内やEU圏の人々から、なぜこんなにも注目されるのか。ヨットレースだけではない、レ・サーブル=ドロンヌの街の魅力をお伝えする。
貝殻アートの壁やリーズナブルなマーケット
「世界の美しい湾クラブ(The Most Beautiful Bays in the World Club)」が「世界で最も美しい湾のひとつ(The most beautiful)」と認定したレ・サーブル=ドロンヌの海沿いからは、海に浮かぶ建物が見える。これはいわしの加工工場で、この地が漁によって栄え、漁師の住む集落だったことを教えてくれる。 漁師たちは自分の家の壁や扉を、船と同じ色に塗ったという。海の上で、自分を待つ家族やだれかを想っていたのだろうか。船が戻ると、街の女性たちは港や工場に集まって、捕ってきた魚の処理作業をした。 白い壁にカラフルな屋根やドアが並ぶ街並みは、青い空に良く映えて美しく、その後、都会に住む別荘族らにどんどん買われて、今では夏を過ごすためのリゾート地になった。 もちろん中には古くからの住民もいる。貝殻アートで飾られた壁が続く「L'Île Penotte(イル・プノット)」地区はそんな住民が暮らす一角だが、カメラを構えた訪客も多い。 街中には、市民のための市場があり、ヨーグルトやフレッシュチーズ(お豆腐を買う感覚か)、魚や肉や野菜を買いに来る。手作りのジャムやパテ、リエットも並んでいる。 一緒になってのぞいてみると、野菜やフルーツ、ジャム、パテなどは、パリの価格と比べるとだいぶ安い。円安を考慮しても、思わず買い占めたくなってしまうくらいだ。 財布のひもの堅いはずのフランス人も、ここぞとばかりにあれこれ見繕っていた。