「白バイ警官はレーサーみたいにハングオンするの?」白バイのライディングフォームを元警察官が解説
バイクレースを見ていると、レーサーたちが盛大にバイクを傾けながら颯爽とサーキットを駆け抜けていく姿を目にすることができる。彼らのライディングフォームである「ハングオフ(ハングオン)」は、速さの象徴のようにも感じられるが、公道のスペシャリストである白バイ警官も使ったりするのだろうか? また、彼らはどんなライディングフォームを使っているのだろうか? その実際を元白バイ警官の宅島奈津子さんが解説する。 →【画像】ホンダ新型「CBR400RR/CBR400R FOUR」スクープまとめ
基本的なライディングフォーム
バイクファンであれば一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、時に白バイ隊員は公道を走るスペシャリスト集団とも言われています。ですが、走行中はライディングフォームを意識することはほとんどありません。体が覚えているため、そのときどきの状況に応じて最適なライディングフォームを使えるからです。 大別すると、基本的なライディングフォームは3つあります。バイクの傾きと同様に上半身を内側に傾け、外側の腕を伸ばし内側の腕を曲げる「リーンイン」、バイクの傾きに対し上半身を外側に起こして、内側の腕を伸ばし外側の腕を曲げる「リーンアウト」、免許を取得する際に教習所や自動車学校で教わるもっとも基本的で自然な姿勢である「リーンウィズ」です。
ハングオン(ハングオフ)走行
これら意外にもよく耳にするものとして、ハングオン(ハングオフ)というライディングフォームがあります。これは、レーサーやサーキット向けのフォーム。以下では、ハングオンに統一して話を進めますね。 MotoGPをはじめとした、バイクレースのレーサーを見てみてください。彼らはカーブを走行する際に、豪快に車体も身体も内側に傾けていますよね。ハングオンは、ライダー自身の重心を中心に置かず、バイクにハングする(ぶらさがる)ようなフォームであることからハングオンと呼ばれるようになりました。 ハングオンは旋回時だけの瞬間的なテクニックではなく、コーナーに入る前からポジショニングを考え、どういった体勢で曲がっていくのか、またブレーキのタイミング等まで決めておく、といった高度な判断が必要になります。1分1秒でも早くバイクを走らせるためのテクニックです。 「じゃあ白バイ隊員もハングオンすることあるの?」と疑問に思うかもしれませんが、答えはNO。緊急時でも使いません。なぜならハングオンは、前述した通り、対向車のいないサーキット向けのフォームで、公道では危険なのです。公道の安全を守る警察官が、自ら危険を招いていては元も子もないですよね。