天皇陛下61歳会見(全文)オンラインでの活動に新たな可能性見出せたのは大きな発見
雅子さま、工夫や努力重ね諸行事を滞りなく務めた
幹事:では、2問目お伺いいたします。ご家族についてお尋ねします。皇后さまは療養が続く中でも、この1年多くの活動をされましたが、体調や様子について陛下はどのようにご覧になっていますか。愛子さまは今年で20歳になり、成年皇族の一員となられます。入学した学習院大学に通学できない中での過ごし様や、父親としての向き合い方、将来の活動や結婚についてのお考えをお聞かせください。陛下は平静期、上皇さまと秋篠宮さまと定期的にお話をする機会がありましたが、直接顔を合わせられない中で、どのようにコミュニケーションを取られていますか。 天皇陛下:雅子は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による活動への制約などから、体調を整えにくくなっている面はありますが、種々の工夫や努力を重ねながら、幸いにして昨年も諸行事や諸儀式を滞りなく務めることができました。特に、昨年の5月から6月にかけては初めての養蚕に取り組んだほか、11月には立皇嗣宣明の儀(りっこうしせんめいのぎ)、朝見の儀(ちょうけんのぎ)を無事に終え、また新年のビデオメッセージでは、一緒に国民の皆さんにご挨拶ができたことを良かったと思っております。 ただ、雅子は未だ回復の途上にあり、体調には波があり、大きな行事の後には疲れがしばらく残る傾向があります。これからも、無理をせずにできることを一つひとつ、着実に積み重ねていってほしいと思います。 また、雅子は私の日々の活動を支えてくれる大切な存在であるとともに、公私にわたり良き相談相手となってくれております。私も、今後ともできる限り雅子の力になり、支えていきたいと思っています。国民の皆さんには、これまで雅子に温かく心寄せていただいていることに、あらためて感謝の気持ちをお伝えするとともに、引き続き雅子の回復を温かく見守っていただければありがたく思います。
愛子さま、大学の勉強に意欲的で少し頼もしく感じる
昨年の4月から大学生になった愛子は、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでの授業が続いておりますが、昨年秋に初めて大学に登校した際に、「大学では新しい知識を得た時に感じられる喜びを大切にしながら、さまざまなことに取り組んでいければと思っています」と語っていたように、大学での勉強に意欲的に取り組んでいることを私と雅子もうれしく思い、また少し頼もしくなったように感じております。 オンラインでの授業では課題もかなり多く、愛子もその一つひとつに一生懸命に取り組んでおり大変そうですが、授業を準備される先生方のご苦労も大きいものと思いました。私たちも、愛子がオンラインで授業を受けているのをそばで見る機会もありましたが、私たち自身も新たな知見を得ることができたり、何か学生時代に戻ったような気持ちになりました。今後、どのような状況の大学生活になるかは分かりませんが、愛子には有意義な学生生活を送ってもらいたいと願っております。 愛子は、普段時間のある時には、屋外で運動も少ししたりしていますが、家の中で過ごす時間も長いので、私たち家族3人で楽しくだんらんする時間を大切にしてくれています。 また、早いもので今年の12月で成人を迎えます。愛子が誕生した時の会見でも申しましたが、孟子の言葉を参考にした敬宮愛子(としのみや・あいこ)という名前には、人を敬い、人を愛してほしいという、私たちの願いが込められています。それは、20年経つ今でも変わっておりません。今後、成年皇族として公務にあたっていくことになりますが、感謝と思いやりの気持ちを持って、一つひとつの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います。そして、いろいろな方からたくさんのことを学び、自らの考えを深めていき、また今まで以上にさまざまな経験を積み重ねながら、視野を広げていってほしいと願っています。その過程で、将来のことも含め、私たちで相談に乗れることはできる限りしてあげたいと思います。 上皇陛下や秋篠宮と直接会う機会が減っていることは残念ですが、上皇陛下や秋篠宮とは適宜連絡を取るようにしております。ただし、詳細については回答を控えたいと思います。上皇陛下、上皇后陛下には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にお心を痛められつつ、日々を送っておられることと拝察いたします。どうかご無理をなさらず、お体を大切に、末永くお健やかにお過ごしいただきますよう、心よりお祈り申し上げます。