即位行事の「温かい祝福の声」に感謝 天皇陛下60歳会見(全文)
天皇陛下が23日、60歳の誕生日を迎えられた。それに先立ち記者会見を行い、即位後10か月について振り返るとともに、今後の活動についての思いも語った。 【動画】天皇陛下60歳 変化の時代「国民の話を直接聞く機会大切にしたい」 以下はその全文。
即位行事での「国民の祝福の声」印象に
記者:宮内記者会の幹事を務めております、テレビ朝日のアオキシュンと申します。天皇陛下におかれましては、この度60歳の誕生日を迎えられますことを記者会一同、心よりお喜び申し上げます。また、本日このような会見の場を設けていただき、深く感謝申し上げます。天皇陛下のお考えを直接うかがえることは大変貴重な機会であり、私たちは陛下の思いをしっかりと受け止め、国内外や、後世に伝えていくことが大切であると考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 それでは質問に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。1問目です。陛下は昨年5月、およそ200年ぶりの退位によって皇位を継承し、一連の即位儀式を終えられました。即位の感想とともに、天皇としておよそ10か月を振り返り、お気持ちをお聞かせください。また、平成時を踏襲した儀式のあり方についてのお考えをお聞かせください。 天皇陛下:私は、昨年の5月1日に皇位を継承いたしました。平成の時代には、皇太子として上皇陛下のお近くでさまざまなことを学ばせていただき、準備をしてまいりましたが、「剣璽等承継の儀」「即位後朝見の儀」に際しては、これから先、わが身が担う重責に思いをいたし、身の引き締まる思いがし、厳粛な気持ちになりました。 それから約10か月、一つひとつの公務に真摯に向き合い、心を込めて大切に務めを果たすべく努めてまいりました。天皇の一つひとつの公務の重みと、それらを行うことの大切さを感じております。この間、常に私の傍らに寄り添い、相談に乗り、公務にともに取り組みながら支えてくれている皇后雅子に感謝しております。 振り返りますと、上皇、上皇后両陛下が30年以上の長きにわたり、国民に寄り添い、国民と苦楽をともにされながら、公務に取り組んでこられたお姿に尊敬の念を新たにいたします。そして、天皇、皇后としての私たちの新たな門出を、温かい目でお見守りくださったことに厚く感謝を申し上げます。 この10か月の間にもっとも印象に残っていることの一つに、都内や地方での諸行事や諸儀式の際などに、多くの方々から温かい祝福の声を寄せていただいたことが挙げられます。また、「即位礼正殿の儀」に参列され、「饗宴の儀」にもご出席いただいた、各国を代表する方々から心のこもったお祝いをいただきました。海外の王室の方々とも旧交を温めることができたことをうれしく思っております。そうしたお一人お一人の声に支えられて、今日を迎えることができていると感じております。この場を借りて、あらためて感謝いたします。 日本国及び日本国民統合の象徴としての私の道は始まってまだ間もないですが、たくさんの方々からいただいた祝福の気持ちを糧に、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いをいたし、また歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、研鑽を積み、常に国民を思い、国民に寄り添いながら象徴としての責務を果たすべく、なお一層努めてまいりたいと思っております。 儀式のあり方についての質問ですが、平成への御代替わりにおける一連の即位儀式の際、現行憲法下における初めての即位ということもあり、儀式のあり方について慎重に検討がなされたと承知しております。今回の一連の諸儀式においては、平成時を踏襲した上で、必要に応じて変更や工夫を取り入れたものと認識しております。