なぜ大迫勇也は約7年ぶりのJ復帰となる神戸移籍を決断したのか…「純粋にもう一回ゴールを取り続けたい」
仏リーグアンの強豪オリンピック・マルセイユから、ひとあし早く6月に浦和レッズへ移籍。すでに9年ぶりとなるJ1リーグへの復帰を果たした右サイドバックの酒井宏樹に次いで、森保ジャパンの常連選手が日本国内へ帰ってきた。 カタールワールドカップ出場をかけたアジア最終予選が、オマーン代表をパナソニックスタジアム吹田に迎える9月2日から幕を開ける。国内組となり、心身に大きな負担をかけてきたヨーロッパと日本を往復する長距離移動がなくなる影響を問われた大迫は、表情を引き締めながら「代表は結果を残さないといけない場所」とこう続けた。 「まずは神戸で結果を出して、勝利に導くプレーをすることしかいまは考えていません。もちろん代表に呼ばれたときの準備はしていますけど、まずは神戸でしっかりとしたパフォーマンスを出すことしか考えていません」 新天地・神戸には心強い仲間たちも一緒に加わった。古橋が背負っていた「11番」を引き継いだ武藤は、ホームのノエビアスタジアム神戸で行われた21日の鹿島戦の後半開始からデビュー。絶妙のパスでMF山口蛍の決勝弾をアシストし、FC東京に所属していた2015年6月以来、約6年ぶりとなる日本でのプレーに輝きを添えた。 バルセロナの下部組織で将来を嘱望されたボージャンは、米MLSのモントリオール・インパクトを昨年限りで退団。バルセロナで練習を積みながらオファーを待っていたなかで、元チームメイトのイニエスタの推薦を受けてオファーを出した神戸行きを決めた。 「さらに成長するための第一歩だと思っている。もう一度ゴールマシンになりたい」 1年を残していた英プレミアリーグ、ニューカッスル・ユナイテッドとの契約を双方合意のもとで解消。フリーとなって神戸入りを決めた武藤が、所属した1年半で26ゴールをあげたFC東京時代のプレーを取り戻したいと前を向けば、隔離先からテレビ観戦した前夜の鹿島戦を「ワクワクした」と振り返ったボージャンも笑顔で続いた。 「日本でプレーする機会を与えてもらったことに感謝したい。一日も早くスタジアムで、そしてみなさんの前でプレーして勝利に貢献したい」 隔離期間の関係から大迫は今月中に、ボージャンは来月に合流できるという。期待の新戦力3人にイニエスタが融合する姿はもう少し先になりそうだが、スペイン代表歴を持つボージャンを含めて、異例とも言えるフォワードの同時補強を大迫はこう表現した。 「いままでにないから、面白いんじゃないですか。普通じゃ勝てないだろうし、ちょっと違わないと」 すでにYBCルヴァンカップと天皇杯で敗退した神戸にとって、今シーズンの目標は来シーズンのACL出場権を得られる、J1リーグの3位以内に絞られる。現在はサガン鳥栖と勝ち点44で並び、得失点差でわずかに及ばない4位。待ち焦がれたフォワードの仕事を託され、モチベーションを高めている大迫が、未来へつながる戦いの最前線に立つ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)