なぜ大迫勇也は約7年ぶりのJ復帰となる神戸移籍を決断したのか…「純粋にもう一回ゴールを取り続けたい」
7月下旬に開幕した今シーズンのブンデスリーガ2部で、大迫はマルクス・アンファング新監督に率いられるブレーメンの一員として、2試合連続で先発を果たした。大迫にとっては鹿島から1860ミュンヘンへ移籍した、2013-14シーズンの後半戦以来となる2部でのプレー。ただ、ポジションはフォワードではなくまたもや中盤だった。 そして8月6日になって、ブレーメンのクラブ公式ツイッターが「大迫の移籍について国外クラブと交渉中」とつぶやき、大迫自身がすでにブレーメンを離脱していると明らかにした。神戸への完全移籍が発表されたのは直後の8日だった。 ヨーロッパを優先させていた大迫は、囲み取材で「そこはきっぱりと決められました」と国内復帰に迷いはなかったと明言した。理由は単純明快。フォワード探しが急務だった神戸が、三顧の礼を尽くして大迫を迎え入れたからだ。 神戸からは15ゴールをあげて、J1の得点ランキングでいまもトップに立つ日本代表FW古橋亨梧(26)が7月中旬に、スコットランドの名門セルティックに完全移籍した。 神戸加入後の3年間で42ゴールをあげた韋駄天ストライカーが旅立った状況で、契約を2年間延長し、2023シーズンまで神戸でプレーする稀代の司令塔、元スペイン代表アンドレス・イニエスタ(37)の相棒として白羽の矢を立てられたのが大迫だった。 「やってみないとわからない部分はありますけど、技術のある選手がそろっているので楽しみですね。相手に対してしっかりと怖さを出していければと思います」 神戸への合流をまだ果たせていない状況とあって具体的な言及こそ避けたが、イニエスタが繰り出す正確無比なパスで相手ゴールに迫る自分を、大迫自身も待ち望んでいる。その大迫に対して神戸が託した「10番」に、期待の大きさが反映されている。 クラブ悲願の初タイトルとなった昨年1月の天皇杯制覇をもって退団した、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(現グールニク・ザブジェ)を最後に、エースナンバーは1年半も空き番となってきた。次に獲得する大物選手のため、とされてきたなかで、相思相愛の和製ストライカーとついに巡り会ったことになる。 契約期間などは非公表とされているが、報道では3年半契約で、年俸はJリーグの日本人選手では歴代最高額となる4億円(推定)とする報道もある。出場49試合で歴代10位タイとなる23ゴールをあげ、そのうち8ゴールを今年に入ってマークしている代表では長く「15番」を背負ってきた大迫は、思い描く「10番」像をこう語った。 「10番だから特別なプレーをするのではなく、僕がドイツや日本代表でしてきたプレーをそのまま出していきたい。そうすれば自然と定着してくれると思うので、まずは自分にフォーカスを当てて、しっかりとプレーすることしか考えていません」