多くのアパレルが注目!柔らかく耐候性に優れた高機能素材「ソロテックス®」の秘密
最近、多くのファッションブランドが採用している素材がある。雑誌でも特集が組まれ、多くのデザイナーやファッションライターがその素晴らしさを認めている。それが帝人フロンティア株式会社が取り扱う「ソロテックス®」だ。 「ソロテックス®」とは、従来のポリエステルやナイロンでは表現できなかった風合いや高機能を持つ素材とのことだが、なぜこれほどまでに人気なのだろうか。 その秘密を探るべく、今回は、同社技術開発部長の竹下皇二さんと、衣料マーケティング部長の岡田美由紀さんにお話を伺った。
クッション材や車両用シートなど産業資材にも使われる「ソロテックス®」
ー「ソロテックス®」の開発背景を教えてください。 竹下: 「ソロテックス®」は、帝人ファイバー株式会社(現:帝人フロンティア)と旭化成せんい株式会社の合弁会社であるソロテックス社が、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)の繊維化事業として製造販売を開始しました。 1990年頃から、ポリエステルやナイロンの生産地が中国や、東南アジアに移り、コスト競争が生まれます。それにより、日本は質の高い素材を提供しなければ生き残れない状況になりました。当時、PTT繊維の製造コストは高く、糸にする技術の確立が困難など大きな障壁がありましたが、ソロテックス社では、それらの課題を解決し、新たな繊維である「ソロテックス®」として製造販売を開始しました。 その後、2010年に合弁会社を解散。帝人ファイバー株式会社が事業を継承し、現在の形で販売をするに至ります。 ー「ソロテックス®」の特徴を教えてください。 竹下: 一番の特徴はストレッチ性です。ポリマーがジグザグの構造をしており、螺旋状を描いていることから、伸縮性や形態安定性に優れています。 柔らかい風合いや低温染ができるのも特徴ですね。 ー衣類だけでなく、クッション材やペン先にも使われているのですね。 竹下: 「ソロテックス®」の適度な硬さとストレッチ性、形態安定性は、繰り返し使う車両用シートやクッション材に適しています。 「ソロテックス®」のラインナップの多さは、お客様の要望・用途に適した素材を展開するためです。産業資材に使っている繊維をそのまま衣料に用いるわけにはいかないので、糸の種類や太さを変えるなど、用途に応じた工夫をしています。