「お休みいただいております」はどこがダメ? 会社の“ウチとソト”よくある間違い【ビジネスマナー常識チェック】
【それ間違いかも?ビジネスマナー常識チェック】#67 敬語の基本編(7) ◇ ◇ ◇ 【会社のギモン】「びっくりドンキー」の店舗がボロいのには理由があった! 前回までに「お」や「ご」を付けない言葉、そして、社外(ソト)の人に対しては、たとえ上司であっても、自社(ウチ)の人に敬語は使わないということをお伝えしました。同じ人であっても、その場の人間関係によって敬語表現は変わります。社内(ウチ)と社外(ソト)、その使い分けは、慣れないうちはなかなか難しいことかもしれません。 よくある間違いをいくつか見ていきましょう。 【例1】出先で、社外の人から、自社の部長への伝言を頼まれた場合 ×「かしこまりました。△△部長にお伝えします」 〇「かしこまりました。部長の△△に申し伝えます」 「△△部長にお伝えします」という表現は、社外(ソト)の人に対して自社(ウチ)の部長を高めた言い方になっています。 このような場合は「お伝えします」ではなく、「申し伝えます」が正解です。 また、「部長」などの役職名も敬称にあたりますから、社外(ソト)の人に対しては「△△部長」ではなく「部長の△△」または「△△」とします。 同じように、電話で伝言を頼まれた場合も──。 ×「承知しました。△△課長にお伝えしておきます」 〇「承知しました。課長の△△に申し伝えます」 のようにします。 【例2】電話で、名指し人が休んでいることを伝える場合 ×「申し訳ありません。△△は本日お休みをいただいております」 〇「申し訳ありません。△△は本日休みを取っております」「申し訳ございません。△△は本日休んでおります」 「お休みをいただいております」、この表現もよく耳にするのではないでしょうか。何がいけないのか具体的に見ていきましょう。 まず、自社の社員が休んでいることを伝えるのですから、「お休み」の「お」はいりません。さらに、「いただいております」の「いただく」は「もらう」の謙譲語です。これでは休みを許可した会社(ウチ)を高める言い方になってしまいます。 このような場合は、「休みを取っております」という言い方をすると覚えておきましょう。 また、休んでいることを知られたくない場合は「終日不在にしております」と伝えるといいでしょう。 ※社外の人の前とはいえ、上司を呼び捨てにするのは、慣れないうちは抵抗があるかもしれません。しかし、ビジネスの場ではそれが鉄則。「今、この場では誰を高めるのか」を意識し敬語で表現することが、感じの良い敬語の使い方を身に付けるポイントです。 (金森たかこ/マナー講師)