韓国・与党代表「尹大統領の早急な職務停止必要」、弾劾訴追案可決の公算大に…「戒厳の夜に大統領が代表逮捕指示」の報道も
【ソウル=小池和樹】韓国与党「国民の力」の韓東勲(ハンドンフン)代表は6日午前、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日夜に戒厳令を宣布した後、主要政治家を逮捕しようとしたことが新たに明らかになったとし、「(尹氏の)早急な職務執行停止が必要だ」と語った。 【動画】韓国緊迫の光景…銃身つかみ国会突入阻止を図る女性
野党が7日に本会議で採決する大統領弾劾(だんがい)訴追案に与党も賛成する立場に変更する意向を示したもので、弾劾訴追案が可決される公算が大きくなった。与野党は採決の前倒しも検討しているとみられ、尹大統領は一両日中にも職務が停止される可能性が高まった。
韓氏は6日午前、ソウル市内で開いた党緊急最高委員会議で、尹氏が戒厳令を宣布した後、「(軍の)防諜(ぼうちょう)司令官に対し、反国家勢力という理由で、主要政治家らを逮捕するよう指示し、情報機関を動員した事実を確認した」と述べた。
「信頼できる根拠を通じて確認した」としたがどの政治家かは言及しなかった。防諜司令官は、逮捕した政治家をソウル近郊の京畿道(キョンギド)果川(クァチョン)の収監施設に連行する計画だったという。
「国と国民を大きな危険に陥れる可能性がある」
韓国紙・朝鮮日報は6日、尹氏が戒厳令を出した3日夜、情報機関・国家情報院の幹部に韓氏を逮捕するよう指示したが、拒否されたと複数の情報筋の話として伝えた。
韓氏は「(尹氏が)大統領職を続ける場合には、今回の戒厳令のような極端な行動が再現される恐れが大きく、国と国民を大きな危険に陥れる可能性がある」と話し、職務停止を急ぐ必要があるとの認識を示した。
国民の力は5日の臨時の議員総会で「混乱による国民への被害を防ぐため」(韓氏)として、弾劾訴追案に党として反対する方針を決めていた。弾劾訴追案の可決には、国会(定数300)の在籍議員の3分の2以上の賛成が必要だ。国民の力(108議席)が結束すれば否決できる。しかし、韓氏の発言は「弾劾賛成へ旋回」(東亜日報)したものだ。弾劾訴追案が可決されると、大統領権限が即時に停止され、180日以内に憲法裁判所で弾劾審判が行われる。