中国スパイ、米で「史上最悪」規模に トランプ氏の携帯電話もハッキング、重要インフラも標的「有事」に妨害の懸念 日本も侵食か
中国政府による米国へのスパイ活動が「米史上最悪」の規模にまで拡大している。音声通話をリアルタイムで盗聴するなど数百万人分の電話やテキストメッセージが傍受されており、ドナルド・トランプ次期大統領らも標的となった。米国内の重要インフラも狙われているというから事態は深刻だ。習近平指導部は日本にすり寄る姿勢を見せているが、その裏ですでに日本国内でもスパイ網が浸透している恐れもある。米中対立の激化が見込まれ、台湾有事も懸念されるなか、石破茂政権に危機への備えはあるのか。 【写真】首脳会議の集合写真で後列のバイデン氏に米紙「超死に体」 ◇ 中国スパイの動向については、米紙ワシントン・ポストが先月22日、米上院のマーク・ウォーナー情報特別委員長(民主党)の発言を報じた。 ウォーナー氏は中国系ハッカー集団「ソルト・タイフーン」が米国の通信会社を介した音声通話をリアルタイムで盗聴していると述べた。連邦捜査局(FBI)が確認した被害者は150人未満だが、数百万人分の電話やテキストメッセージが傍受されている恐れがあると指摘した。 トランプ氏やJ・D・バンス次期副大統領の携帯電話もハッキングの標的になったという。一方、1年以上前に通信システムに侵入した例もあるといい、要職者らが幅広く狙われていたようだ。 海外の諜報活動に詳しい日本カウンターインテリジェンス協会の稲村悠代表理事は「ソルト・タイフーンは中国国家安全部の管理下にある組織だと指摘されている。中国側は、米国の司法機関などのネットワークに侵入し、政治家や企業など広範囲の情報を収集していたのではないか。平時から密室での会話など機微な情報を狙っていたとみられるが、発覚したことで中国側には大きなダメージになる」と語る。 ロイター通信は、中国のハッカー集団が米国の重要インフラを標的にしているという米サイバー軍幹部の証言を報じた。サイバー軍幹部は「米国との大規模な危機や、紛争が起きた場合に優位に立つことが目的」と語ったという。 また、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は昨年7月、米軍の重要拠点がある米領グアムのインフラに中国のマルウエア(悪意のあるソフトウエア)が仕掛けられていたとし、米政権が探索を国内外で実施していると報じた。