カーリング・藤澤五月の肉体美はどのように生まれたのか? 2カ月半の“変身”支えたトレーナーに聞くボディメイクの舞台裏<RS of the Year 2023>
2カ月半の成果は向き合い方が「本物」だったから
――大会に出場するための食事管理はかなりハードなのでしょうか? マムシ〇:そうですね。増量期=バルクアップ期と言われる時期は、トレーニングをしながら必要な食事量を決めて、体重を上げながら筋肉量を上げていくんですけど、食べすぎても脂肪ばかり増えるので、そこの塩梅が大事です。大会前の1カ月までは好きなものを食べたり、飲みに行ったりもしますが、1カ月前からは制限をかける必要があるので、苦しい部分もありますよ。 ――そこを乗り越えてあれだけ絞ったんですね。藤澤選手が出場したFWJのビキニクラスは「女性らしい美しさを競う部門」で、水着とハイヒール着用で「髪型からメイクまでトータルの美を競う競技」とされていますが、トレーニングでは特にどんなことがポイントになるのでしょうか? マムシ〇:ボディビルの他のカテゴリーだと、体幹部とか腹筋とか僧帽筋といわれる首の筋肉を太くガッツリ鍛えて全部大きくするんですけど、ビキニに関しては「ウエストがくびれていてお尻は大きい」というポイントがあって、「砂時計型」と言われる体型や筋肉を目指して作っていく感じです。 ――コンテストでは規定のポージングがあって、その見せ方も重要になると思いますが、その点はどのように指導されたんですか? マムシ〇:オンラインでも指導していたのですが、藤澤さんがお仕事で東京に来るタイミングが月に2回ほどあったので、その時に2日間目いっぱいトレーニングをして、ポージングやウォーキングの練習をして、個人のトレーニング計画を立てて……という感じで、月に2回は対面で集中的にトレーニングをしました。大会を一緒に見に行ったこともあります。 ――藤澤さんのトレーニングを進めていく上で大変だったこととか、マムシ〇さん自身が驚いたことはありましたか? マムシ〇:「勝ちたいんだったらこれやらないとダメだよね」ということに対して、「仕事もあるし」とか言い訳をつけてしまったり、取り組み方に甘さや迷いのある方もいるんですが、藤澤さんは、こちらが提案することに対して何でも積極的にチャレンジしてくれて、時間がかかることや、自分にとってつらいことに対しても何の迷いもなくストイックにこなしていました。短い時間で成果が出るのはある意味で必然だったと思います。そういう自分との向き合い方がやっぱり本物というか、カーリング競技を突き詰めたオリンピック選手の向き合い方なんだなと思いました。