2025年春夏メンズコレ取材24時Vol.1 裸王「ディースクエアード」がぶっちぎり、新生「モスキーノ」と好調「セッチュウ」は明暗分かれる
新作で気になったのは、“マイスターシュテュック”ラインから登場したユニセックスなミニバッグ。メタルのクロージャーはフランス語で「白い山」を意味するブランド名にちなみ、山モチーフのデザインになっています。肩にかけるもよし、クロスボディーで身につけるもよし。軽くて使い勝手の良さそうなサイズ感です。
18:00 「ビリオネア」
参加するのがコロナ禍以来、約4年ぶりとなる「ビリオネア(BILLIONAIRE)」のショーに行ってきました。ショーが1時間遅れることも普通な、かなりマイペースなブランドというのを知りつつも、予定時刻の5分過ぎた頃に、会場であるフォーシーズンズ・ホテル(Four Seasons Hotel)の中庭に到着。驚くことに、80席程度の座席はすでにゲストで埋まっていました。シートナンバーは割り振られておらず、座席は早い者勝ちだったようです。シートには、30分前の開場とともに着席し、シャンパンを飲みながらショーを待っていたゲストばかり。立ち見の20人程のゲスト含め、他のショー会場では見かけない顔ぶれでした。
待ちくたびれるのを覚悟していましたが、意外にもたった20分遅れでショーがスタートしました。北アフリカへの旅に着想したコレクションは、白で始まり、淡いピンクからグレーへと、温かみのあるカラーのスーツで構成しています。過去に多用していた原色とネオンカラー、サイケデリックなモチーフは控えめに、ワントーンの静かなルックが大半を占めます。細部にジャガードを施したジャケットや、クロコダイルのライダースジャケットの豪奢さが記憶に残っているものの、特段生地の質感が映えるでもなく、スタイリングに個性があるわけでもなく、なんならコットン素材のジャケットとチノパンのシワにばかり目がいってしまいました。ミニマリズムに方向転換するには、ディテールへの配慮も、洋服へのケアも抜け過ぎているのでは。“クワイエット・ラグジュアリー”は、ただクワイエットなだけでは魅力的に映らないのです。