「強迫性障害(強迫症)」の症状・原因を医師が解説 “子ども”が発症することはある?
「ドアの鍵をかけ忘れたかも」と不安になり、家に戻ったことがある方は多いと思います。しかし、これらの不安やこだわりが度を超していると「強迫性障害(強迫症)」と呼ばれる疾患の可能性があります。WHO(世界保健機関)は強迫性障害を生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つに挙げており、生活への支障が大きい疾患です。今回は強迫性障害の症状や治療法、“子ども”も発症するのかについて、児童精神科医の岡琢哉先生に回答してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
強迫性障害ってどんな疾患?
編集部: 強迫性障害とはどんな疾患ですか? 岡先生: 強迫性障害は考えてもしょうがないような考えが繰り返し頭の中に浮かんだり、何度も手洗いや確認といった行動を繰り返してしまったりする疾患です。このような、繰り返し頭に浮かぶ考えのことを強迫観念、繰り返す行動のことを強迫行為と呼び、頭の中の症状と現実に現れる行動の症状と両面で苦しくなってしまうのが特徴です。 編集部: どうして苦しくなってしまうのですか? 岡先生: 強迫性障害で生じる考えや行動によって、本来考えるべき問題や日常生活に割く時間が少なくなってしまったり、行動の範囲が狭まってしまったりするからです。 編集部: 具体的にはどんな症状や行動で現れるのでしょうか? 岡先生: 主な強迫観念として、「何かに触れると汚れがついてしまうのではないか」という不潔・汚染に関する考えや「間違って誰かを傷つけてしまうのではないか」という加害にまつわる考えなどがあります。強迫行為で多いのは不潔・汚染から逃れるために「繰り返し何十回も手を洗う」「毎日何時間もシャワーを浴びる」といった行動や「何度も繰り返し同じことを確認する(鍵やガスの栓、周りを傷つけていないかなど)」ことが挙げられます。
子どもでも強迫性障害になるの?
編集部: 子どもで強迫性障害になってしまうことは少ないのでしょうか? 岡先生: 子どもの強迫性障害は、以前は稀な疾患と考えられていましたが、有病率は0.25~4%という結果が示され、大人と同じくらいの割合であることがわかってきました。 編集部: 何歳くらいで発症することが多いのでしょうか? 岡先生: 10歳前後と20歳前後の二峰性のピークがあることが知られています。学童早期(小学校低学年)で発症する子どもでは男の子が多いことが知られています。また、子どもの強迫性障害についてはチック症やADHD(注意欠陥多動症)の併存を認めやすいこともわかってきています。