「強迫性障害(強迫症)」の症状・原因を医師が解説 “子ども”が発症することはある?
子どもの強迫性障害状にはどう対応したら良いの?
編集部: もし子どもに強迫性障害の症状が見られる場合にはどうしたら良いのでしょうか? 岡先生: 強迫性障害の軽い症状は、健康な大人や子どもでも精神的な負荷がかかることで見られる場合もあります。ですから、手洗いや親への確認が少し多いと感じるくらいの時は、まずは「ストレスが溜まっていないかな」と気にかけて負荷を減らしてあげることが大切です。 編集部: 病院にかかったり、治療が必要になったりするのはどんな時でしょうか? 岡先生: 強迫性障害で気をつけなければいけないのは、強迫観念や強迫行為によって社会活動が大きく妨げられてしまうようになった時です。また、子どもの場合には強迫行為をおこなうために、家族に対して「一緒に手を洗うように言う」「確認作業が終わるまで待つように言う」など本人だけでなく周囲を「巻き込んだ」症状が起きることもあります。このように症状に巻き込まれてしまい、家族も苦しむようになった時には必ず病院を受診し、医師に相談することが重要です。 編集部: 医師に相談することでどのような治療ができるのでしょうか? 岡先生: 強迫性障害の治療は心理社会的治療(カウンセリングや周囲の環境整備)と薬物治療に分けられます。強迫性障害の症状はどこまでが自分の考えや自分の意思でおこなっている行動かわかりにくく、混乱しやすいため、まずは信頼できる第三者となる医師やカウンセラーに症状を説明することが重要です。症状を取り除くための心理治療は時間と労力がかかることも多く、薬物療法と併用することが多いのが現状です。主な薬物療法としては抗うつ剤が用いられます。
編集部まとめ
強迫性障害の症状による困りごとは周囲から理解されにくいのが1つの特徴です。子どもの時から発症することが専門家の間では知られていますが、世間にはまだ十分には知られておらず、人知れず苦しんでいる子どもと家族、大人はたくさんいます。信頼できる治療者や支援者と出会うこと、症状から抜け出すための支援が増えることが重要な疾患なので、正しい理解が広まっていくことが望まれます。
【この記事の監修医師】
岡 琢哉(株式会社カケミチプロジェクト) 岐阜大学医学部附属病院精神神経科、東京都立小児総合医療センター児童思春期精精神科、医療法人社団神尾陽子記念会発達障害クリニック、岐阜大学医学系研究科博士課程を経て、現在は株式会社カケミチプロジェクト代表取締役、NPO法人カケルとミチル 理事、医療法人社団あやなり 理事。訪問看護事業、インターネット上の情報発信、放課後デイサービス向け研修事業を展開している。