胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
ワイドな2連モニター 光沢の強いパネル多し
インテリアデザインにも、新しい方向性を感じる。実際に押せるハードスイッチはほぼなく、Q8 e-トロンにあった、下部のタッチモニターは省かれた。 シンプルなダッシュボード上には11.9インチのメーター用と、14.5インチのインフォテインメント用の、2連モニターが並ぶ。これをアウディは、MMIパノラマディスプレイと名付けた。オプションで、助手席側にもモニターを追加できる。 内装には光沢の強いパネルが多く、アウディらしい高級感は乏しいかもしれない。特にセンターコンソール上には、ドライブモードやスタビリティ・コントロール、スタート/ストップなどのスイッチが並び、指紋が残りやすい。 車内の広さは、このクラスの平均。後席側のゆとりでは、全長の長いメルセデス・ベンツEQE SUVの方が有利だ。 インフォテインメント・システムは、従来のMMIが稼働。タッチモニター下部にエアコン用アイコンが並び、ショートカットキーも用意されている。アップル・カープレイやアンドロイド・オートの利用時も、これらは消えないから操作性は良い。 タッチモニターの反応は良好。メニュー構造もわかりやすい。一部の操作は、タップの回数が多すぎると感じたが。 純正ナビは、グーグルの技術を利用し使いやすい。ただし、常に衛星写真の画像が用いられる仕様で、走行中は見にくく感じた。任意に代替ルートを選ぶこともできない。
388psでも不満ないパワー感 滑らかな回生ブレーキ
ポルシェはタイカンの発表時に、高い性能を何度も発揮できると主張した。この強みは、共同開発のPPEでも受け継がれている。アウディのQ6 e-トロンでも、駆動用バッテリーが残量10%へ減っていても、0-100km/h加速はカタログ値を上回ってみせた。 静止状態からの全力ダッシュ時は、ドライブトレインからノイズが響き、力強さを聴覚的に高める。一方で、通常は殆ど無音で仕事を続ける。 試乗したツインモーターのクワトロの場合、呆れるほどの剛腕ではないものの、合理的な上級・電動SUVとして、まったく不満ないパワー感。388psで良いと思わせる。洗練されたフィーリングが、大きな特長だろう。 回生ブレーキは効きが滑らかで、ステアリングホイール裏のパドルで調整可能。ワンペダルドライブも選べる。周囲の状況へ自動的に調整される、アダプティブ・モードもある。 着座位置は意外なほど低く、運転席へ座ると、背が高めのステーションワゴンに乗ったような気分になる。ウエストラインが高いことも、影響しているはず。これと短めのボンネットが相まって、実際以上にボディは大きく感じられる。 その結果、公道では若干取り回ししにくい。座面を高めにすると、そんな印象は改善される。シートの調整域などは広く、運転姿勢は至って快適だ。 ステアリングは、コンフォート・モード時は少し軽すぎる。直進状態を保つのにも、気を使うほど。ダイナミック・モードなら、ダイレクト感が高まる。