胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
後ろから押し出される感覚が楽しい
ボディサイズとステアリングに慣れれば、シャシーの優秀ぶりが見えてくる。カーブでは車重を感じるものの、グリップ力が高く反応は機敏だ。 負荷が高まるほど、ステアリングホイールへ伝わる路面の感触が増していく。脱出加速時は、リアアクスル主体のパワーバランスが明確。後ろから押し出される感覚が楽しい。 試乗車は21インチ・ホイールを履いていたが、アスファルトの剥がれた穴などを、驚くほどエアスプリングは吸収していた。ただし細かな凹凸はなだめきれず、乗員の頭が揺さぶられることもある。 他メーカーより高い接地感は、アウディの技術者が狙った設定。全般的に、乗り心地は素晴らしい。 アダプティブ・クルーズコントロールは、フォルクスワーゲン・グループのモデルに共通するが、かなり優秀。車線維持支援システムも同様だ。もし不要なら、センターコンソール上のスイッチとタッチモニターからオフにできる。 メーター用モニターに表示される、運転支援システムの情報は少し目障り。もっと有用な情報を映せるのではないだろうか。
強い印象を残す上質な走り 充分な訴求力
試乗車はクワトロのローンチエディションで、英国価格は8万6440ポンド(約1677万円)。レクサスRZより、僅かに高いだけといえる。電動のポルシェ・マカン4や、マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレより、だいぶお手頃だ。 電費は今回の平均で4.6km/kWhと、RZより若干良い。急速充電は、最大270kWへ対応するが、試した限り200kW前後が現実的な速さな様子。 まったく新しい、Q6 e-トロン。当たり障りのないスタイリングだと、受け止める人はいるだろう。従来までの、ソリッドで高品質なインテリアの雰囲気も薄れている。それでも、PPEが叶える上質な走りが強い印象を残す。 操縦性の良さは、特筆すべきもの。エアサスが叶える乗り心地も素晴らしい。アウディらしさは薄れたかもしれないが、望ましい訴求力を発揮しそうだ。 ◯:完成度の高いインフォテインメント・システム エアサスの乗り心地 △:高めの価格 事実上、SQ6はQ6の上級グレードになったこと
アウディQ6 e-トロン・クワトロ・ローンチエディション(英国仕様)のスペック
英国価格:8万6440ポンド(約1677万円) 全長:4771mm 全幅:1939mm 全高:1648mm 最高速度:209km/h 0-100km/h加速:5.9秒 航続距離:613km 電費:4.6km/kWh(実測) CO2排出量:- 車両重量:2325kg パワートレイン:非同期モーター(前)+永久磁石同期モーター(後) 駆動用バッテリー:94.9kWh 急速充電能力:270kW 最高出力:388ps(システム総合) 最大トルク:59.0kg-m(システム総合) ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
イリヤ・バプラート(執筆) 中嶋健治(翻訳)