脳の専門家が教える「人生の変え方」脳神経の使い方で人生は変わる!
あなたも、「脳はプラスチック」だという考えを耳にしたことがあるかもしれない。脳はセメントのように硬く固定された器官ではなく、むしろ正しいスキルを用いれば、粘土のように形を変えたり改善したりできるのだ。この能力が実現されるプロセス、すなわち神経可塑性は、ニコール・ヴィニョラが著した新刊『Rewire』の根幹に流れるテーマとなっており、彼女はインスタグラムアカウント(@nicolesneuroscience)を通じて自己啓発の分野で絶大な人気を誇る神経科学者なのである。 【写真】ランニングが脳にいい理由7 そんな彼女のデビュー作『Rewire』では、ブリストル大学での神経科学の学士号取得や、西イングランド大学での組織心理学の修士号取得といった学術的背景から得た深い知識と、企業クライアントに対する脳のパフォーマンス指導の経験が見事に融合されている。 また、あなたが運動に熱心になれたり、先延ばしをやめたり、もっと自分に優しくなれたりと、ずっと望んでいた変化を起こすための核心的要素がギュッと凝縮されている。発売後はすぐにAmazonベストセラーとなったことから、この作品が彼女のオンラインでの人気に匹敵するほど、多くの人に愛されることは間違いない。 新しい習慣を形成する美しさ、行き詰まりからの抜け出し方、ネガティブなスパイラルに陥りやすい理由、そして、疲れていても望む結果を作り出すにはどうすればいいのか、アメリカ版ウィメンズヘルスはニコールに直接話を伺った。今回は、この内容を詳しく見ていこう。
WH:スマホを見る時間を減らす、新しい趣味を始める、といった小さな変化を起こすことが、こんなに難しいのはなぜですか?
NV:私たちは未知の世界の不快さよりも、既知の世界の快適さを好むからです。朝一番にスマホを手に取るといった行動をとるとき、脳はニューロンを発火させ、お互いにコミュニケーションをとり、その行動が繰り返されるたびにその関係が強固になっていきます。時間が経つにつれ、これらのニューロンのつながりが経路を作るようになりますが、同じ行動が繰り返されるたびに、これらの経路は高速道路のようになるのです。つまり、移動が非常にラクになるんですね。そしてあなたも、その行動を無意識にやっているように感じられてくるでしょう。例えば、歯を磨くのと同じようにです。 その瞬間から、あなたの脳はエネルギー消費が最も少ない「馴染みあるもの」を求め、最も多く移動してきた経路を選ぶようになります。運動をサボって家にいることを選んだり、料理をする代わりにテイクアウトを注文したりするなど、自分にとってよくないことをしていると分かっていながらその行動を繰り返してしまうのは、これが原因なのです。 脳が別のルートを辿るということは、つまりコンフォートゾーンから抜け出し、新しい道を作るということになります。ですがその新しい道は、(初めのうちは)移動が簡単な高速道路ではなく、岩や穴だらけの未舗装道路なわけです。これをゆっくりと滑らかできれいな道に整えていかなければなりません。これが結構難しいことなんです。疲れているときなんかは特に、脳がよく通ってきた馴染みある経路を優先したがるからです。