ため息、棘のある褒め言葉...「遠回しに攻撃してくる」ずるい人の心理
「何もしない」が新たな攻撃を呼び込む
なぜ、「ずるい攻撃」なのか? その理由は、一見すると「自分に対しての攻撃」と明確にはいえず、反論も抵抗も難しいからです。仮に「さっきのあれ何なんですか?」と言っても、「え? なんかしたっけ?」「きにしすぎじゃない?」など、いくらでもノラリクラリと言い逃れされてしまいます。 言い逃れ可能な範囲の攻撃だからこそ、それを指摘しにくく、指摘すると関係が悪くなりそうで、やられたほうはモヤモヤを感じながらも、何も手を打てないという状態になってしまう傾向にあります。実際、「ずるい攻撃」を受けたことがあっても、何もしない、何もできないという人が多いのです。 こういった攻撃をする人は非常に多く、された側は一方的に疲れますし、逃げられない環境だと精神的にも追い詰められて抑鬱状態になる人もいます。そして最も恐ろしいのは、この「何もできない」「何もしない」ということが、さらなる攻撃を呼び込む行動だと気づいていないことなのです。
「ずるい攻撃」を放置してはいけない
パワハラやいじめなどの「目に見えるわかりやすい攻撃」と、間接的な嫌がらせなどの「目には見えないわかりにくい攻撃」では、後者のほうが対処しづらい傾向があり、困っている方も多いのではないでしょうか。 目に見えるわかりやすい攻撃や、法律に反するものに関しては、対処方法がある程度存在します。しかし、見えにくくわかりにくい攻撃は、攻撃かどうかもわからない曖昧な行為、言動が多く、どう対処していいかわからないものも多々あります。 そして、現実的に加害行為に遭っているのにもかかわらず、自分の思い違いではないか、相手に責められたら怖い、自分が飲み込んで黙っているほうがいい、そのようなことをされる自分が何か悪いのかもしれないと罪悪感を抱えたりもします。 また、波風を立てずにいたらその場が収まり平穏を保てるという考え方も強いです。私が接する人々の中にも「自分さえ我慢していたら平穏で安全なんだ」という一時的な平和を保つために、自分の心を殺していく人も多数存在します。 一時的な平穏を保つために自分の心や気持ちを抑えて我慢していると、心が疲弊し、やがて麻痺してしまい、気力も奪われ、心を病んでいくことになるので注意が必要です。 見えにくくわかりにくい「ずるい攻撃」に悩み苦しむ人たちにまず必要なことは、「これは攻撃である」と認識すること。そして、受動攻撃を含む「ずるい攻撃」をする人たちの心理や攻撃傾向を知り、その対処の仕方を理解することです。 相手の攻撃に圧倒されてのまれてしまうのではなく、冷静に分析判断して、攻撃から抜け出すための知識を身につけ、対処できるようになることが重要なのです。
大鶴和江(心理セラピスト)