<ボクシング>ロマゴンvs井上戦が急浮上
WBC世界フライ級王者となったばかりのローマン・ゴンザレス(27歳、ニカラグア)と、WBC世界ライトフライ級王者、井上尚弥(21歳、大橋)のビッグマッチの可能性が浮上してきた。ボクシングのダブル世界タイトル戦が5日、代々木第二体育館で行われ、井上のジムの先輩である八重樫東が、ロマゴンに9回TKOで散って王座から陥落したが、試合後、その新王者は「井上は強い。彼と試合がやれれば面白い」と挑戦者に井上を指名した。 その井上も同じリングで初防衛戦を11回TKOで飾った、2度ダウンを奪いながら途中、拳を痛めてペースダウンしたが、減量苦もその理由のひとつ。この試合を最後にベルトを返上、ひとつ上のフライ級に階級を上げて2階級制覇を狙う方向だが、井上は、「どの団体の王者と対戦してもいいようにしっかりと練習したい」と語った。 報道陣から、その候補の一人であるロマゴンとの対戦についての意欲を聞かれると「もちろん。八重樫さんの借りを返したい」とジムの後輩としてのリベンジを宣言した。 激闘王の八重樫を粉砕して、怪物ぶりを再アピールしたロマゴンと、天才・井上との対戦となると注目を集めるのは必須の好カード。力対力で八重樫は敗れたが、井上のスピードとセンスがあれば、怪物攻略の可能性は、決して低くはなく、しかも、八重樫の仇をジムの後輩が果たすというドラマ性までもある。 大橋会長も「もう尚弥はライトフライでやるのは限界。本来ならスーパーフライだろうが、フライ級なら尚弥とロマゴンとの(ジムとしての)再戦は面白いね」と大乗り気。ロマゴンはロマゴンでWBAのライトフライ級王者時代は、スーパー王者となったが、強すぎて対戦相手に敬遠されてマッチメークに困ったという過去がある。それだけに井上が、もし挑戦者に名乗りを上げてさえくれれば、まさに渡りに船。この日も、アクシデントに見舞われたものの、詰めの甘さを見せるなど、まだ経験不足の部分を隠せない井上を、今のうちに叩いておきたいという算段もあるのかもしれない。