「なんで分かってくれないんだ…!」部下の不満が爆発しそうな低評価を、デキる上司はどう伝えるか
● 評価に不満が爆発する 3つの理由 毎年この時期になると、プロ野球選手が契約更改後に不満を述べる姿をニュースで見る。どの世界でも人の評価は難しい。 評価への不満の原因は、大きく三つのカテゴリーに分けられる。 1.評価指標の問題、2.評価そのものの問題、そして、3.会社や上司からの伝え方や説明の仕方の問題だ。 まず、評価指標の問題についてである。これは、社員が自身の評価に用いられる基準や方法が公平でない、もしくは偏っていると感じる場合に起こる。 例えば、特定の部門や職種にのみ手厚いなど、評価の偏りがある場合。高い売り上げを誇る部門や目立つ役割の社員は高く評価されやすく、サポート業務や内部管理を担当する社員は、貢献度が地味で数字に表れにくいため、評価が低く抑えられる傾向がある。 また、長く勤めている社員と外部からスカウトで入ってきた社員との間で、評価や報酬に差が生じることがある。市場競争によって高い給与を約束されて入社した転職組に対して、既存の社員が自身の貢献度に対して正当な評価を得られていないと感じることも多い。 さらに、会社の評価基準や指標自体に社員が納得していない場合もある。例えば、新たなパフォーマンス評価ツールの導入で、従来の評価方法と異なる結果が出て、聞いていない、話が違う!と社員が不満を抱くこともあるだろう。 次に、評価そのものの問題だ。これは、社員の自己評価と会社からの評価に大きな差がある場合に生じる。社員は自身の成果や貢献度を高く評価しているにもかかわらず、会社がそれを十分に認めていないと感じると、納得できず不満が募る。
目標を達成したにもかかわらず給与が上がらない、他の社員と比較して自分の報酬が低いと社員感じた場合が典型だ。ベテラン社員が年齢を理由(役職定年など)に報酬を減らされたり、若手偏重で自身の評価が下がったりしても、当人にはまだ十分に活躍できるという意識があるため、不公平だと感じる。 さらに、会社の方針や財政状況によって評価が影響を受ける場合もある。会社が再建期に入り予算を削減する際に、社員の希望する報酬に届かないことがある。社員の評価はつまるところ給与なので、当然不満のもととなる。 最後に、会社からの伝え方や説明の仕方の問題がある。会社が評価や契約条件を一方的に示して十分な説明を行わず、社員が納得するための情報提供や対話、社員へのリスペクトが欠けている場合に生じる。 長年会社に貢献してきた社員が、その功績を軽視されると、信頼関係が損なわれる。その上、契約内容や評価基準が不透明であれば、社員は不信感を抱く。具体的な数値や目標が提示されず、インセンティブや出来高払いの条件が曖昧で説明不足であれば、社員は納得できない。 また、社内外から高く評価されているのに、会社からの評価が低く、その理由が明確に説明されない場合も、社員の不満につながる。 ● 厳しい評価を 部下に納得してもらう方法 だから、会社は社員に不満を持たせないために、まずは評価指標の明確化や評価の公平性の確保に努めることが重要だ。その上で、現場のマネジャーが、厳しい評価を本人に伝える際に、どう伝えれば不満が少なくなるのか。その方法については意外と語られることが少ない。 原則的には、相手の貢献や感情を尊重した対応を心がけることが重要である。厳しい評価を伝える状況には、次の4通りがあり、その状況ごとの対応の方法がある。 1. 私(上司)は評価が正当と考え、相手もその評価を(おそらく)正当だと認識する場合(上司○、部下○) 2. 私(上司)は評価が正当と考えるが、相手はその評価を(おそらく)不当だと認識する場合(上司○、部下×) 3. 私(上司)は評価が不当と考えるが、相手は(おそらく)正当だと認識する場合(上司×、部下○) 4. 私(上司)は評価が不当と考え、相手もその評価を(おそらく)不当だと認識する場合(上司×、部下×)