「なんで分かってくれないんだ…!」部下の不満が爆発しそうな低評価を、デキる上司はどう伝えるか
1. 上司○、部下○ 4つのなかでは一番容易な状況である。この場合、双方が評価の正当性を認識しており、曖昧さを避けて明確に問題点を伝えることが効果的だ。 また、改善策や次のステップを強調することで、前向きなアクションに焦点を当て、相手のモチベーションを維持しやすくなる。さらに、相手の努力や貢献を認めることで、問題点の指摘とともに良い点も評価し、バランスの取れたフィードバックを提供できる。 ここでは未来に向けた良い話ができる可能性が高い。たとえ悪い評価でもしっかり受け止めることができる部下は、謙虚かつ自己認知能力が高いので、将来有望とも言える。 2. 上司○、部下× もっとも一般的な状況である。ほとんどの人は自己評価が(不当に)高い。よって、この場合、具体的な事例やデータをしっかり準備し、それを用いて根拠を示すことが重要だ。客観的な情報に基づく説明が説得力を持つからだ。 それでも不満は残るだろうが、上司は自分を評価するだけの判断材料を持っていると思われるだけでも、不満の度合いは大きく下がる。 また、相手の視点や意見を積極的に聴き、感じている不満や疑問を受け止め、理解することで、誤解を解消しやすくなる。共感的な態度を取り、感情的な対立を避け、建設的な対話を促進することも重要だ。さらに、言葉遣いを慎重に選び、中立的で冷静な表現を用いることで、相手の防御的な反応を和らげることができる。 3. 上司×、部下○ 評価者をやってみると分かるが、自分の評価と最終的に会社として下した評価が異なることは多々ある。 この場合、相手が評価を正当と感じているため、評価に対する過度な否定や上層部への批判を避け、事実に基づいて伝える。自分が不当と感じていることを伝えるかどうかは、状況や相手との関係性によって判断する。 この際に、相手の自信やモチベーションを損なわないよう配慮し、不必要な混乱や誤解を避けるために、肯定的なフィードバックも含めることが重要である。 上司や関係者に相談し、評価が不当であることについて組織内で解決策を見つけなければならないケースもある。評価が上の会議で自分の意に反して低く切り下げられた、などがこれに当たる。 本人に伝えるときに、「自分は高く評価したが、上から下げられた」などと言うのは、たしかに組織の役割行動としては正しくはない。しかし、組織内にある不当な力関係によって評価が無理矢理に捻じ曲げられるような場合に、あまりに優等生的なことばかり言うのも、上司部下間の信頼関係を築く上で効果的とは言えない。よって、適切な落としどころを探すことになるだろう。