「なんで分かってくれないんだ…!」部下の不満が爆発しそうな低評価を、デキる上司はどう伝えるか
4. 上司×、部下× 会社員としてつらい立場に立たされるのがこのケースである。この場合、評価の背景や理由を正直に説明することが必要である。不当な評価であることを上司が認識しているなら、その事情を透明性をもって伝えることで、信頼関係を維持できる。 相手への共感を示し、不満を感じている状況の打破に対してサポート姿勢を示して関係性を強化する。可能な改善策や代替案を一緒に検討し、不当な評価による影響を最小限に抑えるために協力する。さらに、上司や関係部門と協議する意向を伝え、問題の解決に向けて組織的な対応を取る姿勢を示すことも極めて重要だ。 3と同様に、難しいコミュニケーションが要求されるが、上司部下で一緒になって、会社への不満をぶちまける場にしても仕方がない。可能な改善策や代替案を一緒に検討し、上司が実際にその後も改善に向けてそれを実践していくことが求められる。 ● 厳しい評価をきちんと伝えるのも 上司の大事な仕事 いずれも、 (1)評価に対する相手の認識に応じて、説明の細かさや根拠の提示方法を調整する (2)評価のずれ(あるいは一致)による相手の反応を予測し、それに対応するコミュニケーション戦略を取る (3)自分の立場や評価に対する認識をどの程度相手と共有するかを慎重に判断する (4)相手との信頼関係を維持・強化するために、共感やサポートを適切に示す (5)そこで話した内容を自らも実践する というポイントを押さえることが肝要だ。 部下に厳しい評価を言い渡すのは誰にとっても難しいが、これを問題なく実行してこそ上司である。上司に厳しいことを言われたとしても、後になれば、あのときの的確なアドバイスがあったおかげで成長できたと思うことは多い。上司の皆さんの健闘を祈る。 (プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)
秋山進