「熟年離婚」の危機と無縁の夫婦が、定年前にルール化していた“あること”とは
収入から経費を引くことができると所得の総額が減り、それにかかる所得税率も減ります。所得税は、所得に対して5%から45%まで7段階になっているので、割合を低く抑えるには所得総額を減らすことです。年金+給与の場合は収入は雑所得になります。確定申告という手間はかかりますが、払う所得税は減り、損しません。 このように面倒でも、2人は税金に対しても真摯に向き合い、きちんと計算し、光熱費まで細かく考えて節約することで、お互いの信頼感が増しているのです。 ● 夫婦で生活費を管理することで 揺るぎない信頼感が生まれる 夫婦で生活費を協力して管理することは、海外では当たり前の光景です。筆者がイギリスの家庭に滞在していたとき、政府主導で各家庭に送られてきたスマートメーターで電気、ガスの使用時に利用時の料金の上がり方が「見える化」されており、家族で節約に取り組んでいました。 また、『世界幸福度報告書』によると、フィンランドなどでは政府や経済成長、環境などの信頼度が高く、これが幸福度の要因となっています。シンプルに生活し、支出を減らすことは、将来への安心感につながります。パートナーとの信頼関係は、将来への大きな幸せにつながると思います。 日本においても、ある年代別のアンケート調査では、「家族との関係値にどれくらい満足しているか」という問いに対して、60代は20代の次に高くなっています。金銭面への満足度は60代が最も高く、働き方、住環境に対しての満足度も60代が最も高くなっています。 ただ、パートナーとの関係値の満足に関しては、20代、30代の次に60代が高くなっていて、その意味でも、役職定年で給料が激減する時期から給与が全くなくなる時期、そして年金受給が開始される時期が、今回述べたような生活上のルールを作る大事な時期かと思います。 夫婦がそろっているときだからこそ、「ルール化」して「見える化」することが信頼度を深めるのではないでしょうか。
柏木理佳