「熟年離婚」の危機と無縁の夫婦が、定年前にルール化していた“あること”とは
定年を迎えると「夫婦で自宅にいる時間が長くなり、喧嘩が増えた」「収入激減、物価高なのに支出は控えず、買い物に一緒に行くたびに喧嘩している」などの不満が増加、定年後の熟年離婚数も増加しています。しかし、一方で、「家の中に話し相手がいてよかった」「身体がきつくなった部分を補い、支え合うようになった」「生活費を賢く計算し、公的サービスで損しないようにやりくりしていて、幸福度が増した」などと、かえって仲良くなった夫婦もいます。実は幸福度が増した夫婦は、定年直前にあることをルール化していました。果たして、それは何でしょうか。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳) 現在、離婚の全体数は減少しているにもかかわらず、定年後などの熟年離婚が増えいてます。40年以上婚姻期間がある夫婦が離婚する割合は23.5%と、過去最多になっています。お金に無頓着な石田健吾さん(仮名)は、70代になって離婚。妻に任せていた所得額の計算が合わず、税金もずっと多く払っていて損ばかりしていることに気づいたそうです。 一方、これまですれ違いで離婚危機さえ起きていたのに、定年後は打って変わって友達みたいに仲良くなったという夫婦もいます。実はこういった夫婦にはある共通点がありました。 ● キーワードは「断捨離」と年金の所得税の壁 仲良し夫婦が決めたルールとは 幸福になった夫婦は、定年直前に「あるルール」を決めていました。 第一に、50代のビジネスパーソンはこれから足腰が弱くなっていきますが、腰が痛くなったり、耳が聞こえにくくなったりと、具体的にどういった支障が出るのかを、定年5年前くらいから想像して、早めに対策を考えておくことです。まず考えるべきは、要らないものの断捨離や固定費の削減です。具体的なケースを見てみましょう。 たとえば石田さんの近所に住むおしどり夫婦は、これまで移動手段を車に依存していました。しかし、どんどん足腰が弱くなり、バスに乗車してもヨタヨタ転びそうになったりする自分たちの姿を想像して、車を早めに手放すことを決めました。毎月の駐車代2万円と車検代など年間30万円、そして車の売却費用150万円を、60歳の定年から65歳の年金受給開始までの5年間における生活費の足しにしました。