「熟年離婚」の危機と無縁の夫婦が、定年前にルール化していた“あること”とは
公的年金に所得税があるなどと知らなかった前出の石田さんの場合は、妻に家計を任せっきりにしていたので、離婚後途方にくれました。この所得が高いために、ずっと医療費は3割負担でしたし、施設に入るときにも3割負担のままでした。2割負担なら毎月15万円で済んだのが、3割負担で毎月22.5万円も払っていたのです。 しかし、友人のおしどり夫婦は、年金受給が開始される60歳より前に、2人で税務署に相談に行きました。そして、年金受給額が130万円以下なら公的年金等控除として60万円が控除されること、65歳以上になると、年金額が年330万円までは110万円が控除されることを知ります。 月に15万円(年180万円)の年金を受給しても、社会保険料、住民税、所得税などが天引きされるので月13万円あまりの手取りになります。これをしっかりと頭に入れて生活費を計算しました。具体的な計算は、以下のようになります。 ●年金-(基礎控除48万円+公的年金等控除110万円など)=所得X5.105%。→年金から一定の控除額を差し引いた額に5.105%を乗じた金額が源泉徴収される分 日本年金機構などから「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送付されます。それを提出すると配偶者控除、扶養控除などを受けることができますが、提出しないと各種控除が受けられず、源泉徴収税額が多くなる懸念があります。 賢いおしどり夫婦は103万円、106万円の壁のように、年金には330万円の壁があることを前もって計算していたのです。 ● 定年後に所得税を減らす 「なるほど」の発想転換 こうして年金を計算すると、生活費が少なくなってしまうので、夫に地域の公立学校での教員サポーターを始めるよう勧めました。ところが、ここでも所得税などがけっこう引かれてしまうのです。月に10万円にもならないのに2万円近く引かれるのは大きいです。 そこでおしどり夫婦は、自宅で古着を集めてマーケットを開催、販売するなどをして、個人事業主になりました。そうして自宅を使って販売することで、家賃や光熱費、通信費なども3分の1ほどを経費にすることができました。ただでさえ光熱費、食費の節約生活も限界でしたし、経費を2人で管理しやすくなり信頼感も高まりました。無駄な買い物も減りました。