なすなかにし那須(43)が発症・緊急手術をした 「脳梗塞」の前兆・予防法を医師が解説!
脳梗塞と脳卒中の違い
脳梗塞は、脳卒中のひとつです。「卒中」とは昔の言葉で「突然中(あた)る(=突然起こる)」という意味です。元気だった人が突然倒れて意識を失い、目覚めても半身不随など後遺症が残る症状を、昔の人は卒中と名付けました。脳卒中は一般的な呼び名で、医学用語では脳血管障害と呼びます。 脳卒中は、脳の血管が詰まる、破れるなど異常を起こして急激な脳障害を起こす症状の総称です。その名のとおり、ほとんど何の前触れもなく発生し、高い確率で半身不随や寝たきりなど、深刻な後遺症が残ります。脳卒中は平成23年の調査では年間114万人以上の方が発症しており、決して珍しい病気ではありません。 「脳卒中」は大きく3つの症状に分けられます。脳血管が詰まる虚血性脳卒中「脳梗塞」、脳血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」があり、うち脳梗塞は全体の7割以上を占めます。脳梗塞も脳出血も、脳に深刻なダメージを与えます。前兆症状も同じですが、脳出血、くも膜下出血は激しい頭痛を伴うことが多いです。
脳梗塞の前兆となる初期症状
脳梗塞は脳血管が詰まった場所により、さまざまな前兆を引き起こします。以下に解説する症状がある場合は脳梗塞を疑い、すぐに医療機関を受診しましょう。 ■体の右半分または左半分のしびれ、感覚の消失 突然、体の半身(右半分、または左半分)が動きにくい、痺れる、感覚が失われる、などの症状が現れます。脳梗塞を起こしている場所と反対側の手足に異常が起こります。 箸がうまく持てない、口から含んだ水が漏れる、足がふらつく、手が動かしにくい、など様々な症状が現れます。始めは腕が少し痺れる程度だったのが、やがて足が動きにくくなり症状の範囲が広がることもあります。両手を「前ならえ」のポーズで上げ、てのひらを天井に向けることでわずかな腕の麻痺が判別することができます。脳梗塞がある場合、左右どちらかの腕が下がります。このような症状が現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。 ■ろれつが回らない 脳は各部位でさまざまな役目を担います。言語野を司る部分が脳梗塞を起こすと、言葉が出ない、または出にくい(失語)、ろれつが回らない、言われた言葉が理解できないなど、さまざまな言語障害が出ることがあります。かんたんな言葉を話してもらう、語り掛けるなどして、異常だと判断したらすぐに救急車を呼びましょう。 ■突然の失明、眼球の動きが異常 脳梗塞の前兆症状で、視覚障害を引き起こすことがあります。突然目が見えなくなる、見えにくくなる、二重に見えるなどさまざまなパターンがあります。片目だけ見えない、両目とも見えない、というケースもあります。左右どちらの目で見ても「視野の半分(右側、または左側)しか見えない」と感じることもあります。これは半盲(はんもう)と呼ばれ、たとえば車のヘッドライトが右側しか見えないことから異常に気付くことがあります。 失明する原因で有名な「網膜剥離」は、短時間に視野が欠け、やがて何も見えなくなる症状です。黄斑という目の中心部の網膜が剥がれることで起こりますが、「視界の左右どちらか半分しか見えない」という症状はまず起こりません。どちらが原因でも早急に治療を開始しなければ失明や、命を落とす危険が高い病気です。ただちに救急車を呼び、救急搬送を依頼しましょう。 脳梗塞を含めて、脳卒中になると「眼球の動きが異常になる」ことが知られています。片側の目だけ外側を向いている、両眼が片一方に寄ったままなど、異常な動きを起こすことがあります。 ■しゃっくり、耳鳴りなど 脳の延髄という場所で脳梗塞を起こすと、しゃっくりが起こることがあります。延髄は呼吸や心拍の調整など、生命維持に欠かせない動きを担う場所です。放置すると呼吸や心臓の動きに影響する可能性がある、危険な前兆です。耳鳴りや立ちくらみが起こることもあります。意識障害や言語障害、半身まひなど、ほかの症状を併発しているかどうかで判断しましょう。