実行犯は「闇バイト」! 年末年始に急増する"名指し電話詐欺"の最新手口と対策
――非通知だと無視するのですが、今回は080から始まる番号が通知されていたので出てしまいました。 石原 指示役は捨てスマホ(SIMカード)をたくさん持っています。おっしゃるとおり、非通知の電話は警戒されて出られないことが多いため、今は番号をさらして電話をしてきます。 また、電話番号の偽装表示もできます。『スプーフィング』という方法で、プログラミングで実現させたり、海外の違法サービスの悪用でもできる。オレオレ詐欺では、息子の自宅の電話番号を偽装表示させた例もあり、巧妙になっています。 ――ちなみに、私は途中で切られてしまいましたが、冒頭の『新潟県警』のくだりの後どういう手口を使ってお金をだまし取るのでしょう? 石原 とにかく焦らせて正常な判断力を奪うことが基本なので、さまざまな方法でそれを仕掛けてきます。 『口座が悪用されている恐れがあるので、今すぐ新潟まで出頭してください』など不可能なことを言い、『そんな遠くに行けない』と返すと、『このままだとぬれぎぬでも犯罪者になってしまいます。示談金を支払えば解決します』『口座が悪用されていないか確認するために、一度こちらの口座にお金を振り込んでください』などというウソをついてきます。 そこで引っかからなければ、金融庁や銀行員など別の役が登場する劇場型シナリオに変わっていく流れも考えられます。また、『電話だけだと信じられない』と言うと、LINEのIDでつながって、偽物の逮捕状や警察手帳の画像を送ってくることもあります。 ――なるほど。あと、何より気持ち悪かったのが、電話番号とフルネームがひもづいてバレていること。どこから情報が漏れるのでしょう? 石原 個人情報保護法ができてから20年以上たっていますが、残念ながら個人情報はダダ漏れなのが現状です。 法に抜け穴が多く、取り締まりも甘い。情報を持ち出されたり、ハッキングされたりした企業は被害者という見え方で『ご迷惑をおかけして申し訳ありません』と謝罪するだけで済む状況で、ありとあらゆる名簿が流出しています。 そのほか、名簿会社に企業の従業員名簿や学校の卒業名簿などを小遣い稼ぎで売る人も少なくありません。1件数円~数十円程度ですが、学校の名簿で200~300人分なら1万~2万円にはなります。 また、不動産会社が持つ名簿であれば、勤務先、役職、家族構成、資産額なども流出し、狙われやすくなります。ほかにも、訪問販売で高級羽毛布団を購入した人のリストなども出ていて、それはイコール資産があって人を信用しやすいターゲットのリストでもあるので、高値で取引されます。ネット上では、アンケートサイトを装って個人情報を取るなどの手口も考えられます。 ――つまり、いつ詐欺電話がかかってきてもおかしくないという状況なのですね......。では、最後に詐欺電話がかかってきたときにやるべきこと、やってはいけないことを教えてください。