万引き繰り返す病『クレプトマニア』を克服した女性 「腐るほど全部盗んだ」6回の逮捕…家族の苦しみ 原因や治療方法は?
院長は、赤城高原ホスピタルと関連するクリニックでは、これまでに常習窃盗患者が2500人以上いて、クレプトマニアは病気として治療していくべきだと話します。 【赤城高原ホスピタル 竹村道夫院長】「数年前に(病院に)来ていて、今は治療してなくてまた再犯してるとか。最近の人では、15年以上ぶりに来て、その間に3回服役していたという人がいましたね」 「心神耗弱ではないから、犯罪は犯罪なんだけど、バランスが必要で、治療しない限りは良くならない、再犯が防げないから、場合によっては治療をする期間をちゃんと確保して効果を見てから、判決をしてもいいんじゃないかなという風に思う。本人が病気のことを忘れても、病気の方が本人を忘れないというかね。何かの時に、ひょっと顔を出す」
■訓練で症状を抑えるしかない「クレプトマニア」
なぜ「クレプトマニア」になってしまうのか。 京都大学の大学院では患者の脳波を測定するなど、科学的に解明しようと研究が続けられています。 Q.病気の人と病気じゃない人を、どう区別するのですか? 【京都大学大学院 後藤幸織准教授】「そこもすごく難しい話になっていまして、明確に区切りができない。何にも問題ない人と依存症の人の間は連続している。依存は依存だけど、すごく軽い。自分の意思でやめようと思ったらやめられる人もいれば、自分ではどうしようもなくなってしまうという人もいて」 警察庁によると、2023年度の刑法犯のうち、窃盗犯が占める割合はおよそ7割。過去5年間を見ても、半分以上の割合を窃盗犯が占めています。 この中には自分が「クレプトマニア」と気づいていない人も多くいるとみられます。
また、「クレプトマニア」は、完全に“治る”わけではなく、訓練で症状を抑えるしかないのが現実です。 【京都大学大学院 後藤幸織准教授】「薬で、インフルエンザを直接なくすタミフルみたいな薬もありますし、風邪の症状を抑える、鼻水とか咳を抑える薬も、(治療薬は)2通りありますよね。依存症の治療というのは風邪薬の方と一緒なんですよ。症状を抑えれば何とかなるかな。メカニズムとして、ウイルスを消そうという薬とは違う」 Aさんは15年前から万引きをしていませんが、物を取りたい衝動はずっと近くに潜んでいます。 【Aさん(50代)】「半額のやつでもすごく気になっちゃって。誰かに買ってほしくなくて。それをやらないように訓練して」 「迷ったら買う。AかBか悩んだらもう、ぱっと買う。AとBを両方買おうとか、ちゃちゃっと決めることにしてる」 こうして万引きをしたい衝動を抑えられているのは、失ったものの大切さに気づいたからです。 【Aさん(50代)】「『治りました』じゃなくて、“取らないことを続けていくこと”を努力することが答えかな」 「取ることに振り回されることもばかばかしいって。もっといろんな人に出会えたし、今、本当に幸せですね」 自分にとって大切なものは何か…。これからも万引きをしたい衝動と戦いながら生きていきます。 (関西テレビ「newsランナー」 2024年9月24日放送)
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