天皇陛下63歳誕生日会見(全文) 雅子さまと結婚30年「できる限り力になり、支えていきたい」
今年6月に結婚30年、雅子さまへの思い
幹事社:両陛下は、今年6月に結婚30年を迎えられます。これまでの歩みを振り返り、皇后さまへの思いや回復の状況についてお聞かせください。 青年を迎えられた愛子さまは昨年3月、初めての記者会見に臨まれましたが、どのようにご覧になりましたか。愛子さまの大学生活や青年皇族としての活動、今後の進路やご結婚についての考えをお聞かせください。 天皇陛下:結婚してから30年近くが経つのかと思うと、時の流れの速さを感じます。昨年12月の雅子の誕生日の感想にもありましたが、雅子が29歳半の時に結婚してから、その人生の半分以上を私と一緒に皇室で過ごしてくれていることに心から感謝するとともに、深い感慨を覚えます。この30年近く、2人で一緒に多くのことを経験し、お互いに助け合って、喜びや悲しみなどを分かち合いながら歩んでまいりました。 雅子はこの1年も工夫や努力を重ね、体調を整えながら、皇居での行事、都内での式典やオンラインによる各地への訪問、そして昨年10月以降は栃木県、沖縄県ならびに兵庫県へと再開された地方への訪問に臨むことができました。 また、突然の英国訪問となった昨年9月の英国女王、エリザベス2世陛下のお葬儀への出席は、時差が大きく長時間のフライトとなるなど、厳しい日程だったと思いますが、2人で揃って参列できたことに安堵いたしました。 この1年は、コロナ禍の状況も少し落ち着き、その前の年に比べ、出席する行事も増えましたし、養蚕についてもコロナ禍に入ってからの体制から、蚕の種類や頭数を増やすことができ、伝統を引き継ぎながら熱心に作業に取り組んでいます。そのような中で本当によくやってくれている、と思います。ただ、雅子は、いまだに回復の途上で、体調には波があり、大きな行事のあとや行事が続いた場合には疲れがしばらく残ることもあります。そのような際には十分な休養を取ってほしいと思います。これからも無理をせずにできることを一つひとつ着実に積み重ねていってほしいと思います。 雅子は、私の日々の活動を支えてくれる大切な存在であるとともに、公私にわたり良き相談相手になってくれていますし、愛子の日常にもよく気を配りながら見守っており、生活に安らぎと暖かさを与えてくれていることも、とてもありがたく思っております。私も今後ともできる限り力になり、支えていきたいと思っています。 国民の皆さまには、これまで温かく心を寄せていただいていることに改めて感謝の気持ちをお伝えするとともに、引き続き雅子の回復を温かく見守っていただければありがたく思います。