【Around30】IT企業から「土木」の世界へ転身した女性
新潟市で開かれたまちづくりに関するシンポジウムで発言する、今佐和子さん(3月27日、山田恵介撮影)
【連載】Around 30 人生の分岐点~私はこれで生きていく~ 第7回 国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所・土木技官・今佐和子さん(30) 結婚、海外転勤、転職、起業…30歳が近づくと急に迎える人生の転機。そんな時に「私はこれで生きていく」という決断をした人の人生に、少しだけおじゃまさせてもらった。不定期連載でお送りするこの企画の第7回は、国土交通省土木技官の今佐和子さん(30)。ITの世界から土木の世界に転身した彼女に、土木にかける熱い思いを聞いた。 ◇
「新潟がもっと良くなるには、かつてのように川と人が近くなることにあると思うんです」。今月27日、新潟市内で開かれたまちづくりについて考えるイベントで、今佐和子さん(30)はこう発言した。 国土交通省の職員として新潟に赴任して、2年になる。街の歴史や人々の暮らしを知るために、休みの日を利用しては県内各地でまち歩きをしたり、地域で歴史に詳しい人に話を聞きに行ったりしてきた。コメどころ新潟を体験するため、知人を訪ねて5月の連休は田植えに、9月の連休は稲刈りにと、時間の限り各地を訪ね歩いた。道路や河川を整備する土木の仕事は、地域の人々に大きな影響を与える。歴史や人々の暮らしを知ることで、どんなまちづくりが人のためになるのかを知りたいと思ったのだ。
土木のイメージは「黄色のヘルメット、Tシャツ、ニッカーボッカー姿」?
昨年12月、土木の仕事について、新潟県内の高校で講演する機会があった。講演前に高校生にアンケートをとると、土木の仕事に対して「黄色のヘルメット、Tシャツ、ニッカーボッカー姿」といった、「身体の大きな男性が力仕事に汗を流す」イメージを持っていたことが分かった。これも間違いではないが、土木の一面を捉えたものにすぎず、「土木にはもっと広い意味があることを伝えていきたい」と、今さんは話す。 道路や河川の工事は、都市計画に基づいて行われる。そしてその都市計画、つまりまちづくりは、人々の生活がより良くなるようにと行われるものだ。土木とはまちづくりであり、その土地で暮らす人々の幸せを考えるのが仕事なのだと、今さんは語る。