米ラッパー、ショーン・コムズの黒歴史 騒動と疑惑の時系列まとめ
性的人身売買、恐喝でコムズが逮捕、起訴される
Danity Kaneのドーン・リチャードが性的虐待でコムズを訴える Danity Kaneの元メンバー、ドーン・リチャードも9月10日にコムズを訴えた。コムズから何度となく身体を触られ、コムズが女性に暴力を加えるのを目撃し、罰と称して何時間も車内に閉じ込められたり、殺すと脅されたりしたという。 Diddy-Dirty Moneyというグループにも所属していたリチャードは、ニューヨーク州南地区連邦裁判所に訴訟を申し立てた。2004年にTV番組「Making The Band」のオーディションで初めて出会ってから2012年に突然契約が打ち切られるまで、コムズは「音楽の道を進むには、俺の自堕落な要求に応じることが必要不可欠だと言いふくめて原告を操り、女性アーティストが音楽業界で成功するにはそうした虐待や搾取は必要なのだと思い込ませた」と主張している。 訴状には、コムズと近しかった時期に目にした数十回の忌まわしい現場についても書かれている。麻薬漬けのパーティでは、コムズは仲間と一緒に「昏睡、あるいは失神」状態とおぼしき若い女性を相手に性行為に及んでいたそうだ。リチャーズの意見では、コムズは「練習台」として彼女をパーティに誘っていたという。その後2009年から2011年にかけて、着替え部屋に勝手に乗り込んでは「むき出しの尻」を「まさぐり」、「胸に触ろうとした」。リチャードが誘いを拒むうちに、曲から外されたり、パフォーマンス中にマイクをoffにされるなど、コムズの仕返しも増していったと訴えている。 リチャードの訴訟はベンチュラの訴訟内容も裏付けている。リチャードはコムズがベンチュラの首に手を回して締める姿を目撃しており、一度などはロサンゼルスの自宅で、卵を焼いていたフライパンをベンチュラに投げつけ、2階に引きずっていったこともあったそうだ。リチャードが間に入って関係を終わらせるようベンチュラに口添えしようとすると、コムズは「ニガーを消してやる」「俺が息の根を止めてやる」と脅したという。 性的人身売買、恐喝でコムズが逮捕、起訴される 裁判資料によると、コムズは9月17日にニューヨークのホテルで逮捕され、恐喝共謀、性的人身売買強制、詐欺または威圧による州をまたいだ売春行為の容疑で起訴された。「数十年にわたり、ショーン・コムズは……自らの性的欲望を満たし、名声を守って自分の行いを隠すために、周りの女性やその他の人々を虐待し、脅迫し、強制した」と司法省の起訴状には書かれている。「そのために、コムズは自ら運営管理する多角経営ビジネス帝国の社員、資材、影響力を頼みの綱としてきた」(コムズの弁護士は、依頼人は「無実の人間」で、「不当な起訴」の被害者だと述べている)。 起訴状によると、コムズは「暴力、暴力をちらつかせた脅し、それに恐喝行為で、被害者にプロの男性セックスワーカーと性的行為を延々と行わせた。とくにコムズ本人はこうした行為を『フリーク・オフ』と呼んでいた」。起訴状によると、こうした「趣向を凝らした性行為」の最中、コムズは「段取りを決め、指示を出し、自慰行為に及んでいた」という。当局は「マイアミとロサンゼルスの自宅から、薬物や1000本以上のベビーオイルやローションなど、フリーク・オフの必需品多数」を押収したとも記載されている。 コムズは容疑について無罪を主張。現在はブルックリンのメトロポリタン留置センターで、保釈金なしで勾留されている。 拘束状態の女性をレイプし、暴行動画を「ポルノ」として売買したとして訴えられる 9月24日、11人目の原告タリア・グレイヴスがコムズを相手に訴訟を起こした。すでに裁判まみれの音楽プロデューサーは、2001年にレコーディングスタジオで彼女に薬を盛り、両手首を拘束した状態でレイプしたとみられる。 グレイヴスの主張によると、コムズのボディガードだったジョセフ・シャーマンも、Daddy’s Houseのラウンジで性的暴行に加担したという。訴えによると、2人は暴行の様子を撮影し、数人の友人に見せていたとみられる。その中にはグレイヴスが当時付き合っていたBad Boyの幹部もいた。 レイプが密かに録画されていたのをグレイヴスが知ったのは2023年11月だった。元恋人から、「同意なしで女性との性行為を録画し、そうした動画をポルノとして販売するなどして一般公開するのがコムズとシャーマンのいつもの手だと聞かされた」という。 グレイヴスはPTSD、極度の鬱、「自殺思考や脅迫観念を患い、自らの命を絶とうとしたこともある」と訴状には書かれている。こうした経験から、彼女は「つねに怯える」ようになった。ニューヨーク市の条例「性暴力保護法」およびセックステープの盗撮・流布に関する州の民法に照らし、コムズとシャーマン、それにコムズの会社の従業員8人が訴えられている。 コムズから「性的暴行を受け、薬を盛られ、居場所を追跡された」としてフロリダのモデルが訴える フロリダのモデル兼起業家の匿名女性は、コムズを性的暴行で訴えた12人目の原告だ。訴えによると、飛行機でコムズが各地に所有する自宅に呼ばれ、本人が拒否したにもかかわらず、複数の男女を寝室に連れ込めと「執拗にプレッシャーをかけられた」という。 その女性は2020年秋に海外旅行先でコムズと知り合い、2024年まで交際を続けたそうだ。コムズと取り巻きは4年間にわたって彼女の渡航を手配し、ロサンゼルスやマイアミ、ニューヨーク各地のコムズの自宅を行き来させたという。社員は「威圧的かつ嫌がらせの言葉で、原告を無理矢理従わせた」そうだ。毎回コムズは「自分のために『ショウを演じろ』と彼女に命じ、気を失うまで酒や薬物を飲ませた――目を覚ますとあざや傷だらけだったが、傷を負った経緯はまったく記憶になかった」と訴えている。 その女性は2022年夏にケタミン摂取を強要された後、妊娠したことを知った。当時コムズと付き合っていたラッパーのヤン・マイアミ(本名カレーシャ・ブラウンリー)は、女性に「嫌がらせ」をして中絶するよう迫ったとみられる(ローリングストーン誌はブラウンリーにコメント取材を申請中)。女性は流産し、3カ月間コムズとは連絡していないという。 コムズは彼女の居場所を突き止め、性行為を録音し、生活費は自分が賄ってやるとしつこく迫っていたらしく、女性は次第にコムズを恐れるようになったそうだ。「今日に至るまで、コムズは匿名原告の行動、自主性を支配しようと接触を続け、嫌がらせや威圧などの手段で発言を制限しようとしている」と訴えている。 未成年者25人を含む120人が性的暴行でコムズを訴える テキサス州の弁護士は10月1日、120人の原告が性的虐待でコムズを訴えたと発表した。性的暴行の犯行時に未成年だった依頼人は25人にのぼるという。 「最年少の被害者は犯行当時9歳でした。当時14歳だった原告も1人、15歳だった原告も1人います」と、弁護士のトニー・バズビー氏は記者会見で述べた。同紙によると、最年少の被害者は「レコード契約を結びたいと言う思いから」、マンハッタンにあるBad Boyのオフィスでオーディションを受け、そこでコムズと知り合った。バズビー氏いわく、その子はスタジオでコムズを含む複数人から性的虐待を受けたという。 最年少の被害者は、これまでの被害者と同じパターンだったと弁護士は語った。「みな『スターにしてやる』と約束され、TV、あるいは何らかの形で音楽の道を目指していました」とバズビー氏は発言した。「代わりに(コムズは)、ショウビズ界には二度と関わり合いたくないと思わせるような仕打ちをしたのです」 バズビー氏によると、原告団120人のうち男性は60人、女性は60人だそうだ。
Rolling Stone