米ラッパー、ショーン・コムズの黒歴史 騒動と疑惑の時系列まとめ
1週間で3件の性的暴行訴訟
1週間で3件の性的暴行訴訟 ニューヨーク州「成人サバイバー法」の期限となる11月23日を目前に控え、2人目の匿名女性がコムズを性的暴行で訴えた(2022年5月に可決されたこの法律は、一般的に性犯罪の被害者が時効により法的選択肢を断たれることをふまえ、時効を撤回し、事件当時18歳以上だった被害者が加害者を訴えられるようにした。同法を支持する人々は適用期限の延長、または時効の完全撤回を求めている)。訴えによると、匿名女性と友人は1990~1991年ごろ、ディディとシンガーソングライターのアーロン・ホールから代わる代わるレイプされたという。数日後には当時住んでいた自宅で、ディディから再び襲われたとも訴えている。訴状には、「彼は苛立ちながら、匿名女性を暴行し始め、女性が気を失うまで首を絞めた」とある。「匿名女性が友人に事の次第を話すのではと恐れたコムズは、友人の行方も追っていた」(ホールとコムズの代理人にコメントを求めたが、先月末の時点で返答は得られなかった)。 匿名女性による3件目の訴訟 12月6日、匿名女性がコムズ、Daddy’s House Recordings、Bad Boy Entertainmentを相手に訴訟を起こした。原告は17歳だった2003年当時、ニューヨーク市内のDaddy‘s Houseスタジオで、コムズ、Bad Boy社長だったハーヴィ・ピエール、それに身元不詳の男性1人から集団レイプされたと訴えている。その女性はデトロイトでピエールと知り合い、コムズが会いたがっていると言われたそうだ。女性はプライベートジェット機に乗せられてニュージャージー州テターボロへ向かい、その後マンハッタンに到着。男性3人は高校生だった原告に「おびただしい量の麻薬と酒」を飲ませたとみられる。訴状には、目の前が「ぼんやり」し始め、バスルームで3人から犯された様子が生々しく記載されている。女性は意識がもうろうとする中、呼吸困難に陥り、止めてくれと3人に懇願した。訴えによるとコムズが最初に暴行し、その後バスルームの外で椅子に座りながら他の2人の様子を眺めていたという。ピエールが凌辱を終えると、女性はバスルームに1人残され、膣に痛みを覚えながら胎児のようにうずくまっていたとも訴えている。「意識がはっきりした」ところで女性は空港に連れていかれ、デトロイトまで送られた。 コムズは申し立て当日に声明を発表し、こう主張した。「もう我慢がならない。この数週間、自分の人格を傷つけ、名声やレガシーを台無しにしようとする連中の様子を黙って見てきた。自分から手っ取り早く金を巻き上げようとする連中が、忌まわしい主張をしている。この際はっきりさせてもらおう。疑われているような悪事は一切やっていない。自分の名に懸けて、家族のため、真実のために戦うつもりだ」 ティファニー・レッドの公開書簡でキャシーの主張が裏付けられる ゼンデイヤ、ジョー・ジョナス、ジェイソン・デルーロ、タマール・バクストンなどに楽曲を提供し、グラミー賞も受賞したシンガーソングライターのティファニー・レッドは、12月7日にコムズ宛の公開書簡をローリングストーン誌に掲載。キャシーの訴えが事実であると主張した。 「彼女の訴状で『コムズ氏によるベンチュラ氏への性的人身売買強制』と記された箇所に記載されている友人の1人が私です。彼女の29歳の誕生日の夜以来、とくに親しくしています」と書簡には書かれている。レッドはコムズとの初めて出会ったときのこと、作曲家としてキャシーと仕事をしていることを説明し、コムズがキャシーを友人から引き離したというパーティについても詳しく語っている。レッドによると、戻って来たキャシーとコムズは酩酊状態で、コムズはキャシーとレッドに暴言を吐き、レッドに向かって「お涙頂戴のくそあまシンガーめ」と言い捨て、去ったという。 「あんたはあの夜、『フリーク・オフ』――キャシーの訴状によると、複数の男性セックスワーカーと性交させられる「催し」だった――に彼女を参加させたと後から聞きました」とレッド。「あの夜あんたが私を『お涙頂戴のくそあまシンガー』と呼んだ理由も聞きました。彼女を連れて行った後、フリーク・オフの最中に、私の書いた新曲を聴いていたからだと。これを書いきながら、心底ムカムカしています」 レッドはその後もコムズがキャシーに暴言を吐くのをたびたび目にし、自分もまたコムズの言動でトラウマを経験したと書いている。 Huluがコムズ一家のリアリティ番組をキャンセル Huluは12月3日、コムズ一家の日常を追うリアリティ番組の制作中止を発表した。発表があったのは、性的虐待および身体暴力疑惑を受け、複数の企業がヒップホップの大物とビジネス関係を断った時期でもあった。 『Diddy +7』という仮タイトルがつけられていた番組は、ジェームズ・コーデンの制作会社Fulwell 73がHulu向けに企画したもので、やはりFulwell 73がHulu向けに制作した『Keeping Up with the Kardashians』の後続番組として予定されていた。ニューヨークポスト紙のゴシップ欄Page Sixは3月、「家族全員に密着したものになるでしょう」という情報筋の発言を報じた。「家族全員、子どももみんな起業家ですから。全員が主役です」 コムズはRevoltの会長職を退任し、酒造メーカーのディアジオはDeLeonの最新広告にコムズの出演差し止めを判事に請求。コムズが今年7月に立ち上げた黒人企業向けマーケットプレイスEmpower Globalでは、現時点で合計23社が完全に撤退している。 ディアジオと和解 1月16日(火)、コムズはテキーラブランドDeLeonの権利を共同所有していた酒造大手ディアジオと和解に応じた。先に訴えたのはコムズの方で、ディアジオがCirocとDeLeonを「黒人向けブランド」と位置づけ、都市部での販売を制限したとして7月に訴訟を起こした。さらに10月には、ディアジオにDeLeonの契約遵守を義務付ける強制命令を裁判所に請求した。元恋人のキャシーが強姦、殴打、他の男性との性交強制でコムズを訴えたのはその数週間後だ。感謝祭当日にはさらに2人の原告が名乗り出て、訴訟を起こした。コムズは原告の訴えを否認しているものの、ディアジオはDeLeonの次年度の宣伝費1500万ドルの権利を求めるコムズの請求を棄却するよう、ニューヨーク州の判事に迫った。 「ショーン・コムズとディアジオは、両者間のすべての紛争で和解することに合意いたしました。コムズ氏はすでにディアジオに関する訴えをすべて取り下げ、今後もディアジオに対する損害賠償裁判を自発的に差し控えます」とは、ローリングストーン誌が入手した両当事者による共同声明の内容だ。つまり、音楽プロデューサーは改めて訴訟を起こすことができない。「ディアジオとコムズ氏は、ウォッカブランドCiroc、テキーラブランドDeleonいずれに関してもビジネス関係を継続することはなく、今後はディアジオが単独で所有するブランドとなります」