ジャガーXK140のスターターが作動しなかった理由とは?|『Octane』UKスタッフの愛車日記
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。1955年ジャガーXK140を18年もの間乗り続けているロバート・コウチャーだが、まさか愛車に何かが棲みついているとは思いもよらず… 【画像】ジャガーXK140のバッテリーを交換する際に遭遇したもの(写真4点) ーーーーー 楽しい時が過ぎるのは早いものだ。しかし、ジャガーXK140を18年間も楽しんでいることに気づいたときには少なからず驚いた。私は小さな黒い手帳に、実施したすべてのメカニカルな作業と、それに費やした金額を1ポンド単位で記録している。それを見れば、このXKがこれまでで最も信頼できるクラシックカーに値することが証明できる。ただ一度だけ、ロンドンのキングス・ロードでSU製の燃料ポンプがガタガタして止まりかけたことはあったが、ハンマーで叩くとまた動き出した。路上で実際に「走行不能」になったことは、一度もない。 記録を読み返してみよう。2012年10月14日に、ガレージでXKを始動させようとした時、バッテリーが上がってしまったことがあった。6年間もこの車を所有していたので、バッテリーもそろそろ替え時だったのだろう。AA(イギリスのロードサービス会社)のバンが到着し、親切な男性が新しいバッテリーを取り付けてくれた。私が手を汚すことはなく、そのときの費用は82.50ポンドだった。 2017年8月31日には、その2つ目のバッテリーも上がったが、これもAAが98ポンドで交換してくれた。そして、2024年3月20日のこと。イグニッションをオンにするとライトが点灯し、信頼度の高いファセット社製の電動ポンプがポンピングする。私がスターターボタンを押すと…カチッ。 例の私の小さな黒い手帳を見てみると、このバッテリーは5年と7カ月もそのままだった。そこで、いつも親切にしてくれるバッテリー・サービスに電話した。すると、AAの担当者(なんと19歳の若さ!)が、134.99ポンドで3つ目となるボッシュ製バッテリーを取り付けてくれた。接続が完了したので、私は自信を持ってスターターボタンを押した。カチッ。そしてまた数回試したが、カチッと音がするだけだった。スターターモーターか? 私たちはボンネットを開け、配線をたどってみた。するとAA担当者が、小さな箱状の部分に、山のようになった種を見つけた。それはさながら、ネズミの宴の後のようだった。これはまずい。 AA担当者があちらこちら探し回ると、ワイヤーが少しかじられていることがわかった。そして、配線をたどりながらもう一度スターターを回してみると、直列6気筒のエンジンが突然かかった。私は、彼が黒魔術を使ったのだと思いたいくらいだ。だが恐らく、あまり使われていない高トルクのスターターモーターが動かなくなっていて、結果的にこの新しいバッテリーがそれを解放したのだろう。その後、私はこのジャガーでグレアム・ハント社(graemehunt.com)に直行し、チーフメカニックのゲーリー・パクスティに頼んで見てもらうことにした。 ゲーリーは、1本のワイヤーが少しかじられているのを見つけ、絶縁テープで巻き直した。そして私たちは、他にネズミによる被害の兆候がないか車をチェックしたが、幸い何も見つからなかった。彼は古い種を掃除機で吸い取り、すべてを綺麗にしてくれた。また、ブレーキフルードのリザーバーが減っていることにも気づき、DOT4の補充もおこなった。 私が学んだことはというと?冬場に車を長期間にわたって放置するのは、理想的ではないこと。バッテリーには5年保証があるが、それには正当な理由がある。それ以上はもたないからだ。しかし、この67年前生まれのジャガーは、再び元気になった。ウィンドウのステッカーにある通りだ。「Save the planet, buy cars that last 50 years.(地球を救おう: 50年間持ちこたえる車を買おう)」 文:Robert Coucher
Octane Japan 編集部