文字の読み書きが困難なディスレクシア、小3で自死を選ぼうとしたことも 「発達障害」「大人LD」の声を社会に届ける当事者が目指す未来
大人になったLDの困りごとを解決したい
困りごとは悪いものではなく、発信することで企業の製品や取り組みに活かしてもらえる。そう話すTenさんが今、力を入れているのは大人のLDの現状や課題を伝え、当事者同士が繋がれるネットワークの構築だ。 「LDって発達障害の中でも忘れられているような気がしましたし、大人になってからのつき合い方を自分自身、知りたかった」 そう思い、LINEのオープンチャットを活用した大人LDのためのコミュニティ「おとなLDラボ」を作った。 様々な困りごとは障害名や症状ではなく、困っていることを起点として解決法を考えることが大切だと、Tenさんは語る。 「ディスレクシアでなくても、高次機能障害や認知症、失読症で読み書きが困難になることはあるし、健常者でも目が疲れて見えづらい日はある。だから、企業や自治体を巻き込みながら、目には見えないさまざまな困りごとを持つ人と一緒に解決法を企画し、サポートしていく会社でありたい」 誰かの困りごとを想像するのは難しい。だが、本当の意味での多様性が浸透していけば、様々な困りごとは解決に向かいやすくなる。 例えば、ディスレクシアの人に対して職場でできるサポートはやり方を限定しないことだとTenさんは話す。 「専用のツールを使って読みやすいように変換するディスレクシアの方もいるので、パソコンでデータを貰えるのは助かります。でも、理解しやすい方法を認めてもらえるだけでも心が楽になる当事者は多いと思います」 なお、近頃はタブレットを用いての授業が当たり前になりつつあるが、ディスレクシアの人はタブレットに文字を書くことが難しかったり、時間がかかったりすることもあるため、学校側は生徒がやりやすい方法を認めることも大切だとTenさんが考えている。 「現実的に難しいことは分かりますが、先生側が選択肢を出すことで学びやすい環境になっていってほしい」 LDや発達障害だからこそ、できることはある。そして今、感じている困りごとは誰かの負担を軽減し、様々な人が生きやすい未来に繋がっていく。そう訴えるTenさんの挑戦は、この先も続く。 (まいどなニュース特約・古川 諭香)
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