外国にルーツを持つ生徒が増加、日本語筆記試験なしの特別入試が広がる…進学率の低さが課題
ただし、導入初年度に利用した入学者は2人。約20人の定員には届かなかった。芦沢副学長は「最初から大学進学を選択肢に考えていない外国籍の子どもも多い。問題提起の意味もあって実施しており、浸透に時間がかかると実感したが、じっくり取り組みたい」と話す。
進学率低く
海外からの人材受け入れが広がり、外国にルーツを持つ生徒が増加する一方、進学率の低さは社会的な課題として指摘されている。 文部科学省の調査(23年5月1日現在)によると、日本語指導が必要な高校生の大学などへの進学率は46.6%で、全高校生(75.0%)に比べて低い。大阪府立長吉高(大阪市平野区)で外国ルーツの生徒らの進路指導を担当する教員リー・タイ・ワーさん(35)は「日本語以外の言語を持つ生徒は、様々な場で活躍できる。彼らの進路がもっと広がってほしい」と話す。
進学率が低い背景には、言語の問題だけでなく、経済的な理由や、大学進学のためのロールモデル(手本となる人)が少ないといった事情もあるとされる。リーさんは「新しい入試の方法で大学進学希望者が増えることを期待するが、奨学金など経済的に持続可能な仕組みも重要だ」と指摘する。