日の丸を背負った34歳新聞記者 マイナー競技「アルティメット」のマスター世代の代表に 34歳記者の日本代表体験記㊤
「アルティメット」という競技をご存じだろうか。直径27センチのフライングディスクを使った7人制の団体競技で、国内の競技人口は推計1万人とまぎれもない〝マイナースポーツ〟だ。だからこその誘い文句は「今から始めても日本代表になれるスポーツやで」。記者も大学時代にこの言葉に誘われ競技を始めたが、15年後、これが現実のものとなる。34歳となった昨年、代表の一員として、本当にマスター世代の世界選手権に出場することになったのだ。 【写真】日本代表としてプレーする西山瑞穂記者 ■アメリカにはプロリーグも ディスクを操る技術や走力、持久力を必要とすることや、フェアプレーを重視したセルフジャッジ制を導入していることなどから「究極」を意味する名前が付けられたアルティメット。発祥の地・米国にはプロリーグもあるが、日本では記者のように大学から始めるケースが多い。 両サイドにそれぞれ18メートルのエンドゾーンが設けられた長辺100メートル、短辺37メートルのフィールドで、ディフェンス側の選手がオフェンス側にディスクを投げることで競技が始まる。オフェンスが自陣から敵陣に向かってパスをつなぎ、敵陣のエンドゾーンでキャッチすれば1点が入る。 ディスクを持った選手はその場から動けない▽ディスクが地面に落ちたり、ディフェンスの選手に奪われたりすると攻守が変わる▽点が入ると陣地を入れ替え、取られた側がオフェンスとなる-など独特のルールもあるが、滞空時間のあるディスクを空中で奪い合う迫力あるプレーが魅力となっている。 ■再燃する「代表への憧れ」 記者になって、競技から離れていたが、仕事に慣れた4年前、運動不足解消程度の気持ちで昔所属していたチームに顔を出したことがきっかけで、再開した。大阪本社報道本部で裁判取材を担当するなど、忙しい日々のなか、所属するクラブチームに全国大会出場という目標があったこともあり、週末の練習だけでなく、平日にもトレーニングをするように。記者10年目の生活でさび付いた体が徐々に動くようになる小さな喜びが日々のモチベーションだった。 そんななか、昨年2月に始まったある選考会に参加した。同年11月に米国で開かれる男性は33歳以上が対象となる「世界マスターズアルティメット選手権大会」に派遣する日本代表メンバーを選ぶためのものだ。