都会の屋外スケートリンク 氷点下でもないのに滑れるのはなぜ?
都会の街並みを眺めつつ、氷上を滑る ── 東京都心の各所で、屋外アイススケート場がオープンしている。18日には、ひとしきり雪が降ったものの、それでも日中は氷点下にならない。なのになぜ都心の屋外アイススケート場は営業停止にならず、サービスが提供できるのだろうか。屋外アイススケート場を運営する東京・六本木の東京ミッドタウンに話を聞いた。
秘密は冷却管にあり
いまでこそ暖冬はどこに行ったのかという雰囲気だが、昨年の12月11日、東京都心では最高気温が24度を超え、もう少しで夏日になるところだった。スケートリンクを運営する東京ミッドタウンは「基本的に気温が異常に高くない限り特に問題はなく維持は可能」と説明する。ある程度の暖冬は想定の範囲内のようだ。とはいえ「暖冬になると気温が高くなり、氷が溶けやすい」という自然原則は健在。どのような対策を取っているのだろうか。 ここで一旦、アイススケート場の氷の作り方を簡単に説明したい。アイススケートのリンクは、防水シートの上に冷却管を敷き、その上に水をまいて氷を作っていく。冷却管の中には、温度の低い不凍液が流れており、氷の温度設定は冷凍機の制御によって行う。 氷の材料は、普通の上水道の水だ。氷の成形には、天候などの条件にも左右されるが、厚さ約1cmにつきおおむね12時間を要する。必要な氷の厚さは約6~7cmということだから、成形を終えるのにだいたい3~4日弱かかる計算だ。
暖冬だったらどうするの?
気温の高さや、利用客が滑ることによって減ってしまった氷は、営業終了後に補う。幸い、夜は気温が比較的低いため、特別強めに冷やす必要はない。営業可能な厚さにまで氷を回復させて、翌日の営業開始を迎える。 加えて、暖冬対策としては「営業時間中にも氷を溶けにくくするよう、早朝から冷やしすぎない程度に氷を冷却しています」という。この「冷やしすぎない程度」というのがポイントで、冷やしすぎると今度は氷が割れやすくなってしまうのだ。 溶けにくくかつ割れにくい状態を保てるよう、気温や天候をみながら冷凍機の設定温度を変えている。この冷凍機の管理に関する経験と知識が、アイススケート場の毎日の運営を支えているようだ。 (取材・文:具志堅浩二)