万博の海外誘客、中国依存の高まり危惧 前売り入場券低迷で現地大規模イベント
一方で万博の前売り入場券は販売目標の1400万枚に対し、昨年11月末の販売開始から今月20日現在で約736万枚の販売にとどまる。このため、万博協会は機運醸成計画で「日本に地理的に近い東アジアの国・地域は重要なターゲット層」と定義。具体的な国・地域として中国をはじめ韓国、台湾、香港、米国を挙げ、国ごとに戦略を策定し、プロモーション活動を展開している。
関西財界や万博協会が中国からの集客に力を入れていることについて、日本総合研究所関西経済研究センターの藤山光雄所長は「関西と中国は経済的な関係が深いことからビジネス促進の効果も期待できる」と分析する。一方で、米中対立の深刻化や中国の景気減速が懸念され、中国への依存度が高まりすぎることには注意が必要とし、「中国をしっかり取り込みつつ、海外からの誘客の多角化を図るべきだ」と強調した。
■難解な販売方法、外国人にハードル
大阪・関西万博の入場券販売が伸び悩む一因に複雑な購入や予約方法がある。日本国際博覧会協会は、入場時間の予約が必要な電子チケットを基本に10月からは紙チケットも販売するが、来場を希望する外国人客も基本的に日本人と同じ手順で入場券を購入する必要があり、海外から誘客する上で大きなハードルになっているとの指摘がある。
万博会期中は1日最大20万人以上の来場が見込まれるため、協会は「並ばない万博」を打ち出し、混雑回避のため電子チケットを導入。購入・利用するには、まず専用サイトにメールアドレスや名前を登録して「万博ID」を取得する必要がある。このIDを使って公式サイトで購入し、来場予約は希望日の半年前から可能となる。
電子チケットはインターネットに不慣れな高齢者らには仕組みが分かりにくいため、10月13日からは全国のコンビニや旅行会社で予約なしで入場できる紙チケットも売り出した。ただ売れ行きについて協会幹部は「驚くほどの数ではない」と厳しい現状を明かす。