定年退職後に、嘱託社員として働く|嘱託社員の待遇面や注意点を解説【シン・会社のマナー】
嘱託社員の待遇面
労働契約で働く嘱託社員は、契約社員、パートタイマーなどと同様の有期雇用労働者です。ただし、定年後の嘱託社員、再雇用者は、雇用契約の更新において他の有期雇用労働者と異なる扱いをしている場合もあります。一般の有期雇用労働者は、契約期間が5年を超えると、期間の定めのない「無期雇用契約転換」を申し込むことが可能になります。 再雇用の場合は、「有期雇用特別措置法」によって、契約の上限を5年以下としている例が多く見られます。これは、都道府県労働局長の認定を受けることによって、無期転換への申し込み権が発生しないようにする特例です。その他の労働条件については、嘱託社員になる際の雇用契約の内容によります。定年後再雇用の場合、雇用形態や職責の変化に伴って給与も3割から5割程度減額となることが一般的です。 ◆再雇用者と区別しているケースも 嘱託の場合、会社によっては待遇面で通常の再雇用者と区別している例もあります。専門的な業務に従事するスペシャリストとして、年俸制などの特別な給与体系をとっている例、就業時間や勤務日数などを少なくしている例などが見られます。これが業務委託である場合は、報酬や契約期間は仕事の内容によって異なります。 労働者ではないので、すべて自己責任で業務を遂行しなければなりません。自らの裁量で働ける自由さはありますが、高い信頼が求められる働き方であるといえるでしょう。
嘱託社員として働く際に気をつけたいこと
会社から、「定年後、嘱託として残らないか?」と打診があった場合、気をつけなければならないのは嘱託としての契約の内容です。嘱託制度は法律で規定されているものではありません。労働契約と業務委託契約では、まったく条件が異なります。労働契約であったとしても、嘱託の場合、65歳までの雇用確保を目的としたものではない場合が多いので、注意が必要です。 契約期間、契約更新の条件など、通常の再雇用とは異なる項目が付されている場合もあります。ただし、高い専門性を有している人の場合、65歳を超える契約や一般の再雇用者より、高額な給与が提示されることもあるので、マイナス面ばかりではありません。 ◆もう一つの注意点とは? もう一つの注意点は、社会保険の加入の有無です。週の労働時間や勤務日数が大幅に減っている場合、社会保険の加入対象にならないこともあります。雇用保険の被保険者になるためには、週の所定労働時間が20時間以上、健康保険・厚生年金の場合は週20時間以上またはフルタイム社員の4分の3以上であることが要件です。社会保険の適用については会社に確認しておきましょう。 業務委託の場合は、自己責任で仕事を遂行しなければならず、社会保険の加入もありません。ただし、副業をする予定の人、複数の会社から仕事を受託したい人などは、再雇用より業務委託契約のほうが都合のいいこともあります。業務委託のメリット・デメリットについて納得したうえで、受けるかどうかの選択をすることが重要です。