「西友」売却を投資ファンド検討、ドンキ・イオン・トライアルが候補に…来月にも決定方針
米投資ファンドKKRが傘下の総合スーパー「西友」の売却を検討していることが7日わかった。売却先候補には、ディスカウント店「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)やイオンなどが挙がっており、2月にも決定する方針だ。
関係者によると、KKRは西友の株式売却に向けた手続きを進めており、イオンやPPIHのほか、ディスカウント大手のトライアルホールディングスが買収に名乗りをあげているという。西友の株式はKKRが85%、米小売り大手のウォルマートが15%保有する。買収額は数千億円に上る見込みだ。
イオンは全国でスーパーを展開する国内大手で、PPIHも2019年に総合スーパー「ユニー」を完全子会社化し、スーパー事業を強化している。KKRはこうした実績などを踏まえ、売却先を判断するとみられる。
西友はセゾングループの中核企業として、日本の小売りを代表する企業の一つだった。だがバブル経済崩壊後に業績が悪化し、02年にウォルマートと資本業務提携を結んだ。08年にはウォルマートの完全子会社となり、上場廃止した。その後、ウォルマートは保有する西友株の大半をKKRなどに売却していた。
西友は昨年から、北海道や九州の店舗を地元スーパーなどに売却し、首都圏の店舗に経営資源を集中する構造改革を進めてきた。集客が見込める駅前立地を中心に店舗網を絞り込み、業績改善に一定のめどが立ったことから、KKRは株式の売却を判断したとみられる。
西友が持つ都市部の店舗は集客が期待できるだけに、競合にとって買収する利点は大きい。KKRによる西友の売却で、スーパー業界の再編が加速する可能性もある。西友株の売却で応札した企業の幹部は「小売りのプレーヤーが減っており、勝機が生まれている」と話す。
背景には、郊外の総合スーパーが近年、人口減少による商圏の縮小などで苦境に陥っている現状がある。同業のイトーヨーカ堂は24年2月期まで4期連続の最終赤字で、地方の不採算店舗の閉店を進めている。親会社のセブン&アイ・ホールディングスは外部資本の導入を検討しており、投資ファンドなどが資本参加に意欲を示している。