ネズミ急増の千代田区、ごみを蓋つき容器で出すよう条例化へ…高齢者が体かじられる被害も
現在の「区一般廃棄物の処理及び再利用に関する条例」では、ごみの出し方について具体的な規定はない。区は条例を改正し、同町会と同様のルールを家庭ごみにも拡大した上で、区全域を対象としたい考えだ。
ただ、ごみ出しのルール厳格化は、市民生活や事業活動に与える影響も大きい。蓋付き容器を誰が管理するかなど実務的なハードルもあるため、区は今後、有識者の意見も踏まえて改正案の内容を慎重に検討する。
千代田区の樋口高顕区長は読売新聞の取材に対し、「今、対策をすればまだ間に合う。条例を導入して、ごみ出しについての規範意識を醸成していきたい」と話した。
コロナ禍終わり、急増か
ネズミに関するトラブルは全国的に増えている。駆除業者などでつくる日本ペストコントロール協会(東京都)によると、害虫・害獣の相談窓口に全国から寄せられたネズミの相談件数は、2014年度は4525件だったが、23年度は9948件と、10年で2倍以上となった。
同協会の谷川力理事によると、特に繁華街のドブネズミが増加しているという。谷川理事は、コロナ禍が終わり、飲食店を中心に餌となる生ごみが増えているほか、人間に慣れたため人目につくところに出没しやすくなっていると推察する。
クマネズミやハツカネズミが屋内にすみ着くことがあるのに対し、ドブネズミは下水管やコンクリートの割れ目などに生息する。雑食で、どう猛な性格で知られる。谷川理事は「まずはごみの管理の徹底から始めることが大事。その上で、対策をステップアップさせる必要がある」と話している。