【Q&A】国家公務員や大臣への「接待」どんなルールがある?
総務省幹部らが菅義偉(よしひで)首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」やNTTから接待を受けていたことが明るみに出ました。また総務相経験者らをめぐる接待も報じられています。こうした「接待」にはどんなルールがあり、どんな行為が禁じられているのでしょうか。
Q:公務員に対する「接待」にはなぜルールがある?
国家公務員の公務に対する国民の信頼を確保するため、遵守すべき事項を定めた「国家公務員倫理規程」があります。 人事院のホームページによると、国家公務員は「国民全体の奉仕者として公正に職務の遂行に当たること」が求められているとし、職務上や私生活で「利害関係者」と接触するケースはあっても「贈与を受けることなど一定の行為は、公正な職務の遂行に対する国民の疑惑や不信を招くものであり、禁止・制限されるべき」だと規定しています。
Q:倫理規程ではどんな行為が禁じられているの?
国家公務員倫理規程は、国家公務員が許認可などを行う対象者、補助金を交付する対象者など利害関係がある人(利害関係者)から金銭・物品を受け取ったり、接待を受けたりすることなどを禁じています。 割り勘であっても、利害関係者とゴルフや旅行などを行うことは禁止です。
Q:「利害関係者」は具体的にどんな人を指すの?
「利害関係者」とは、特定の国家公務員が携わっている業務における(1)許認可などの申請対象者(2)補助金交付の申請対象者(3)立ち入り検査、監査、監察の対象者(4)所管する業界で事業を営む企業――などが該当します。 現職だけではなく、過去3年間に在職したポストにおいても、異動後3年間は引き続き利害関係者とみなされます。
Q:どうしてこのような倫理規程ができたの?
1990年代に幹部公務員などに対する過剰接待が相次ぎ、1998年には大蔵省(当時)の幹部らが銀行から接待を受けた「ノーパンしゃぶしゃぶ」も明るみに出ました。 こうした不祥事を受けて国家公務員倫理法が成立し、2000年4月に同法と国家公務員倫理規程が施行されたのです。
Q:大臣の接待ではどんな行為が禁じられているの?
2001年1月に「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」が閣議決定されました。 これには、首相や副大臣、政務官を含む国務大臣は「国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行い、公私混淆を断ち、職務に関して廉潔性を保持することとする」と記載されています。 接待などに関しては、関係業者との接触において(1)「供応接待を受ける」「職務に関連して贈物や便宜供与を受ける」など国民の疑惑を招くような行為、(2)「未公開株式を譲り受ける」「特定企業の講演会に出席して社会的常識を著しく超える講演料を得る」こと――などが禁止されています。