ベルリン発アイウエア「マイキータ」創業者に聞く、枠にとらわれず進んできた20年とこれから
“目指すのは、単に他と異なるものではなく、より良いものを生み出すこと”
WWD:現代にふさわしいアイウエアを作る上で最も大切にしていることは?
クルーガー:私たちは工業デザイン的なアプローチをとり、コンセプチュアルな方法で核となるデザインを構築しているが、それは構造と素材の整合から始まる。つまり、素材の特性を素直に生かし、それに基づいて構造を作り上げていくということだ。優先するのは機能性だが、同時にあらゆる技術的なソリューションが美学に基づいたものでなければいけない。これこそが、「マイキータ」が提案するアイウエアのミニマルでありながら独自の美しさを放つユニークなデザインと雰囲気の秘訣になっている。
WWD:アイコニックなステンレススチールのシートに加え、2011年には独自素材“マイロン(Mylon)“と3Dプリンティングによるアイウエアを提案し、22年には米特殊素材メーカーのイーストマン(EASTMAN)が開発したサステナブルなアセテート“アセテートリニュー(Acetate Renew)“への完全移行をアイウエア業界で初めて発表した。アイウエアの素材や生産における革新を続けているが、先駆的な挑戦を続ける理由は?
クルーガー:私たちが注力しているのは、構造や素材、外観を進化させること。長年にわたり、常に軽さ、掛け心地の良さ、正確なフィットに重点を置き、アイウエアの分野で複数の特許を取得してきた(例えば、ネジを使用しないスクリューレスヒンジシステムなど)。一方、アイウエアの99.9%は従来の方法、つまり50~60年あるいはそれ以上前から存在する同じ技術と材料で作られていると言える。ここ何年も革新がなかっただけだ。私たちが取り組んでいることは、デザインや革新により深く結びついている。型破りではあるが、その革新と通して常に目指しているのは、ただ単に他と異なるものではなく、より良いものを生み出すことだ。